ジャンゴ・ラインハルト おすすめレコード深掘りガイド:時代区分と聴きどころで選ぶ名盤セレクション
Django Reinhardt おすすめレコード深掘りガイド
ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt)は20世紀のジャズ史に残るギタリストであり、ジプシー・ジャズ(マンーシュ・スウィング)の代名詞的存在です。本コラムでは「レコードで聴くならこれを押さえておきたい」というおすすめ盤を、音楽的背景や聴きどころとともに解説します。オリジナルの78回転盤から近年の良質なリマスターLPまで、目的別(入門/名演集/コレクター向け)に整理しました。
Djangoを聴くための3つの時代区分(簡潔に)
- ホットクラブ期(1934–1939頃):ステファン・グラッペリ(ヴァイオリン)とのクインテットで、弦楽主体の洗練されたスウィングを確立した時期。代表作多数。
- 戦中〜戦後(1940年代):活動地や編成が変わり、哀愁を帯びた楽曲(例:Nuages)が生まれる。レパートリーにバラエティが増す。
- 後期(1940s後半〜1950s):編成や録音スタイルの実験、電気ギターや新しいリズム解釈を取り入れた演奏も。晩年の成熟した語り口が味わえる。
おすすめレコード(厳選)
以下はジャンゴの魅力を段階的に味わえるおすすめ盤です。タイトルは盤名や一般的なコンピレーション名で表記しています。各項で「何が良いか」「代表曲」「選ぶときのポイント」を述べます。
- Complete Hot Club Sessions / The Quintette of the Hot Club of France(ホットクラブ期 コンプリート集)
何が良いか:ジャンゴ×グラッペリの黄金期を丸ごと体験できる決定盤。弦楽器のみで紡ぐ流麗なアンサンブルと即興の応酬が楽しめます。
代表曲:Minor Swing、Daphne、Swing 42、Djangology
選ぶポイント:複数の「コンプリート」が出回っています。曲順や音質が異なるので、最新のリマスター(製作年が明記されたもの)や信頼できるレーベルの2LP/3LPセットが聴きやすいです。
- Nuages(名曲「ヌアージュ」を中心に集めた編集盤)
何が良いか:「Nuages」はジャンゴの代名詞的バラードで、複数バージョンが存在します。哀愁のメロディとヴァイオリン/ギターのやり取りが光ります。
代表曲:Nuages(複数テイク)
選ぶポイント:スタジオ録音の異なるテイクや編成違いを楽しめる編集盤がおすすめ。演奏解釈の変遷を聴き比べるのが面白いです。
- Djangology(後期〜中期の名演を集めたコンピレーション)
何が良いか:ホットクラブ以外の編成、例えばトリオや拡張編成でのジャンゴが聴ける盤。ソロ的・リリカルな側面が前面に出ます。
代表曲:Djangology、I've Found a New Baby(カバー解釈がユニーク)
選ぶポイント:収録時期が混在するため、どの時代の演奏を多く聴きたいかで盤を選ぶと良いです。
- Live at Salle Pleyel / ライブ録音集
何が良いか:コンサートの即興性、観客との空気感が伝わるライブ録音はスタジオ録音とは違った興奮があります。特にグラッペリとの共演はライブでよりスリリング。
代表曲:Minor Swing(ライブ・アレンジ)、Djangology(ライブ)
選ぶポイント:ライブ録音は音質に差が出やすいので、音源出典(放送録音=修復の有無)を確認すると良いです。
- The Very Best of Django Reinhardt / ベスト盤
何が良いか:入門用として最適。代表曲を手短にまとめていて、まずはジャンゴの魅力を把握したいという人に向きます。
代表曲:Minor Swing、Nuages、Swing 42、Tears
選ぶポイント:トラックリストを見てホットクラブ期の曲がしっかり入っているものを選ぶと、ジャンゴらしさがより分かります。
- Early 78rpm Singles Collection(オリジナル78回転盤集)
何が良いか:コレクター向け。オリジナル・プレス(Swing、Deccaなど)の78回転盤は音の雰囲気や演奏当時の「空気」を感じられます。
代表曲:初期のMinor Swingや他のヒット曲群
選ぶポイント:オリジナル78はコンディションが音質に直結します。入手難度や価格を理解した上で探すのがおすすめです(コレクション目的の場合)。
- Frémeaux & Associés / 専門レーベルによるリマスター盤
何が良いか:フレンチ・ジャズを丁寧に復刻するレーベルによる2LP・ボックスセットは注釈や解説が充実し、音質も現代的に整えられています。
代表曲:ホットクラブ期から後期までの選曲が多い編集盤
選ぶポイント:解説書(仏語・英語)や音源出典がしっかりしているため、学術的に聴きたい人に向きます。
- Late Electric / 晩年のエレクトリックを含むセッション集
何が良いか:晩年の表現はより内省的で、時に電気ギターの使用などモダンな音作りが見られます。ジャンゴの音楽的成熟を味わえます。
代表曲:晩年の録音群(アルバム名はコンピレーションにより異なる)
選ぶポイント:晩年録音は演奏スタイルが多様なので、曲目や共演者を確認して好みの色合いを選ぶと良いです。
各盤を聴くときの「聴きどころ」ガイド
- ギター・フレージング:ジャンゴ特有の刷毛でかすったようなピッキング、ハンマリング&プリング風のフレーズ、限られた指で作る独特の速弾きを注目。
- グラッペリとの会話:ヴァイオリンとギターの掛け合いはホットクラブ期のハイライト。役割分担と即興の交差に耳を向けると面白いです。
- リズム隊(ラ・ポンプ):伴奏ギター群が生み出す「ポンポン」とした推進力がジャンゴ・サウンドの骨格。ソロとの対比でその重みが分かります。
- テイク比較:同曲の別テイクを聴き比べるとフレーズ選択の自由さとその日の表情の違いが楽しめます(特にNuages等)。
レコード選びの実務的なヒント(音質・版・解説)
- オリジナル盤は歴史的価値が高いが、音質・ノイズの問題もある。音楽を純粋に聴きたいなら信頼できるリマスターLPがおすすめ。
- 復刻盤を選ぶ際は「リマスター担当」「音源出典」「ライナーノーツの充実度」をチェックすると、解説面でも楽しめます。
- コンピレーションは編集方針が千差万別。年代別にまとまっているもの(例:1934–1939)を選べば、時代ごとの特徴が把握しやすいです。
おすすめの聴き方プラン(初心者→愛好家)
- 入門:ベスト盤で代表曲を把握 → ホットクラブ期のコンプリート集で深掘り。
- 中級:Nuagesなどの名曲の複数テイクを聴き比べ → ライブ盤で即興性を体感。
- 上級/コレクター:オリジナル78や専門レーベルのボックスセットで音質と史料性を楽しむ。
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参考文献
- ジャンゴ・ラインハルト — Wikipedia(日本語)
- Django Reinhardt — AllMusic(英語)
- Django Reinhardt — Discogs(ディスコグラフィ参照)
- Django Reinhardt — Britannica(英語)


