Eddie 'Lockjaw' Davisの軌跡:ハードバップとソウルジャズを牽引した力強いテナー・サックスの名盤ガイド

プロフィール — Eddie "Lockjaw" Davisとは

Eddie "Lockjaw" Davis(エディ・"ロックジョー"・デイヴィス、1922年12月25日生〜1986年11月3日没)は、アメリカ出身のテナー・サクソフォン奏者。力強く粗く、泥臭いブルース感覚を持つ“ロックジョー”と呼ばれる太いサウンドで知られ、ハードバップ/ソウルジャズ期を代表するテナリストの一人です。卓越したアーシーなフレージングと鋭いリズム感により、ホーン・バトルやオルガントリオとのコンボ演奏で特に高い評価を受けました。

キャリアの概略

  • 1930〜40年代に活動を開始し、ビッグバンドと小編成を行き来しながら経験を積む。
  • 1950年代後半から1960年代にかけて、オルガン奏者シャーリー・スコット(Shirley Scott)とのコンビが大ヒット。「Cookbook」シリーズなどオルガン・コンボによる録音で幅広い人気を獲得。
  • ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)との“tough tenors”(テナー・バトル)シリーズも有名で、切磋琢磨する即興合戦の面白さを提示した。
  • 多数のリーダー作とセッション参加を通じて、ハードバップ〜ソウルジャズの重要人物としての地位を確立した。

音楽的な魅力・特徴

  • 力強いトーン:太く、ややざらついた音色で一音一音に“咬みつく”ようなエネルギーがある。これが“Lockjaw(噛みつくあご)”のニックネームとも結びつく印象を与える。
  • ブルースとグルーヴ:ブルース感覚が根底にあり、メロディやソロの随所にブルージーなフレーズやコール&レスポンス感が表れる。オルガンとの相性が良く、グルーヴ重視の演奏で聴衆を惹きつける。
  • 鋭いリズム感とアタック:スウィング感やスネアのように明快なアタックがあり、ソロの冒頭からドラマを作る能力に長ける。
  • 対話的な即興:同世代のテナリストとの“バトル”形式を楽しむ巧みさがあり、他奏者との掛け合いで互いの個性を際立たせる。

代表的な共演・コンセプト

  • シャーリー・スコット(オルガン)とのコンボ:オルガン・コンボ(オルガン、ギター/ピアノ、ドラム等)による演奏で、ソウルフルでダイレクトな表現を確立。Cookbookシリーズなどは彼の“味”を最も分かりやすく提示する。
  • テナーバトル/ツインテナー:ジョニー・グリフィン等とのツインテナー作品は、対照的なスタイル同士の掛け合いがスリリング。テクニックと個性の対比が聴きどころ。
  • スタジオ/セッションワーク:リーダー作だけでなく他のリーダーの作品にも多数参加し、セッション・ミュージシャンとしての信頼も厚い。

おすすめの名盤・入門レコメンド(聴きどころ付き)

  • The Eddie "Lockjaw" Davis Cookbook(シリーズ)

    シャーリー・スコットを擁したオルガン・コンボによる定番シリーズ。ソウルフルでスウィンギー、ブルースを軸にしたプレイが凝縮されており、彼の“声”としてのサックスがよく分かる。

  • Tough Tenors(Eddie "Lockjaw" Davis & Johnny Griffin)

    ツイン・テナーの魅力が詰まったアルバム群。即興の駆け引きや競演の楽しさを味わえるので、テナー・サックスの個性比較にも最適。

  • セッション集/コンピレーション

    様々なセッション参加作をまとめた編集盤は、異なる編成での表現(ビッグバンド、カルテット、オルガン・トリオ等)を比較するのに便利。

聴き方のポイント(注目すべき要素)

  • イントロやフレーズの“アタック”の強さ:音の出し始めの鋭さから彼らしさが伝わる。
  • ブルース・フレーズの使い方:単なるクリシェではなく、流れの中でのビルドアップに注目。
  • 他奏者との会話:オルガンや別のテナーとの掛け合いで、どのようにレスポンスし弾むかを聴くと面白い。
  • 表情の幅:フォルテから繊細な弱音まで、ダイナミクスコントロールを観察する。

影響・遺産

エディ・"ロックジョー"・デイヴィスは“荒削りだが説得力のある”テナー像を提示し、ハードバップやソウルジャズのムードを後進に伝えました。太く泥臭いトーンや、オルガン・コンボでのグルーヴ重視のサックス表現は、以降の多くのテナリストやソウルジャズ系ミュージシャンに影響を与えています。商業的な成功というよりは、“聴けばわかるリアルな説得力”を残したミュージシャンです。

聴くための最後のアドバイス

Eddie "Lockjaw" Davisの良さは“直截的な説得力”にあります。ハイテクニックの華やかさだけでなく、一音ごとの存在感、ブルースの匂い、バンドと交わる瞬間のグルーヴを楽しんでください。初めて聴くならオルガン・コンボ系の録音から入ると、彼の“声”がストレートに伝わってきます。

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参考文献