ヤン・キェプラ(Jan Kiepura)おすすめレコード厳選ガイド|聴きどころと盤選びのポイント
はじめに
ポーランド出身のテノール、ヤン・キェプラ(Jan Kiepura)は、20世紀前半にオペラとポピュラー音楽/映画音楽の両面で大衆的な人気を博した歌手です。本コラムでは「レコード(音源)」に焦点を当て、これからキェプラを聴き始めたい方やコレクションを深めたい方のために、代表的・選りすぐりのおすすめ盤とその聴きどころ、盤選びの観点を詳しく解説します。レコード自体の再生・保管・維持方法については扱いませんのでご留意ください。
ヤン・キェプラ(Jan Kiepura)とは
ヤン・キェプラ(1902–1966)は、明るく輝く“リリック”なテノール・サウンドと抜群の舞台映えで知られ、オペラのアリアのみならずオペレッタ、映画音楽、民族歌曲や流行歌まで幅広く歌唱しました。妻であり歌手・女優のマルタ・エッガース(Marta Eggerth)とのデュエットでも有名で、当時は映画やレコードを通じて国際的な人気を得ました。
おすすめレコード(厳選セレクション)
「Jan Kiepura — Complete Recordings (compilation)」系の総合編集盤
内容の概要:1920〜40年代のスタジオ録音を時期順またはテーマ別に集めたコンピレーション。オペラ・アリア、オペレッタ曲、映画主題歌、民謡・流行歌まで網羅することが多い。
おすすめ理由:キェプラという歌手の全体像を把握するのに最適。声質の変化やレパートリーの幅、異なる言語(イタリア語・ドイツ語・ポーランド語・英語など)での表現を比較できる。現代のリマスターでノイズ低減・EQ補正が施された版を選べば聴きやすさも向上。
聴きどころ:初期録音の若々しい声、中期の黄金期の充実した声、晩年の表現の傾向を追える点。複数トラックで歌い方の変遷を確認してください。
キェプラ & マルタ・エッガースのデュエット集
内容の概要:妻マルタ・エッガースとの共演曲や映画音楽の抜粋集。デュエット、二重唱、映画の主題歌などを収めた編集盤がいくつか流通しています。
おすすめ理由:舞台や映画での“夫婦デュオ”としての魅力が詰まっているため、キェプラの表現力だけでなくアンサンブルでの魅力を楽しめます。ステージングに裏打ちされた“掛け合い”や温かみある声の相性が魅力的。
聴きどころ:二重唱におけるフレージングの合わせ方、感情表現の起伏、映画的な演出効果(イントロ・間奏の扱い)など。
オペラ・アリア集(代表アリアを集めた編集盤)
内容の概要:キェプラが録音したオペラアリアを集めたCD/配信物。イタリア・フランス・ドイツもののアリアを中心に選曲されていることが多い。
おすすめ理由:純粋に“オペラ歌手”としての側面を知りたいリスナー向け。テノールとしての高音の伸びやフレージング、イタリア語発音や語り口を集中して聴けます。
聴きどころ:レガート、リズムの切り方、ビブラートの使い方、劇的性(dramaticity)と美声のバランス。
映画音楽・流行歌集(キェプラのポピュラー録音集)
内容の概要:キェプラが映画や舞台、ラジオ向けに録音したポピュラー楽曲や民謡アレンジを集めた盤。
おすすめ理由:当時の大衆文化におけるキェプラの立ち位置、親しみやすい歌唱スタイルを味わえる。オペラ曲とは異なる“語りかける”歌い方が魅力。
聴きどころ:表情豊かな小品での語り口、言語ごとの歌い分け、アレンジ(オーケストラや室内楽伴奏)の違い。
78回転原盤からの復刻盤(歴史的音源を志向する方向け)
内容の概要:オリジナルの78rpm盤(1930年代等)から最新のデジタル技術で復刻・補正したCDや配信。レーベルは歴史音源専門の復刻レーベル(例:Preiser、Naxos Historical、Testament等)で出ることが多い。
おすすめ理由:当時の音色や息遣い、演奏慣習をより原音に近い形で楽しめる。エンジニアの復刻ポリシー(ノイズ除去の程度やEQ)によって聴感が大きく異なるため、複数版を比較するのも面白い。
聴きどころ:伴奏の配置、空気感、アーティキュレーション(語尾の処理、ポルタメントなど)といった当時の鳴りを感じ取る。
テーマ別ベスト(言語別・ジャンル別のベスト盤)
内容の概要:イタリア語アリア集、ドイツ語曲集、ポーランド語/民族曲集など、特定テーマに特化した編集盤。
おすすめ理由:特定の側面(たとえば「ポーランド語での歌唱」)を深く聴きたい場合に効果的。言語ごとの発音や表現法の違いを集中的に比較できる。
聴きどころ:言語特有のアーティキュレーション、語尾処理、フレーズ作り。
各盤を選ぶときのポイント(音質・音源表記の見方)
原典表示(録音年・録音場所)を確認する:同一曲でも異なる年の録音があり、声の状態や伴奏・解釈が大きく違います。
リマスター/復刻エンジニアのポリシー:ノイズ除去を極端にかけると音の自然さが損なわれる場合があるので、サンプルやレビューを確認すると良い。
ライナーノーツの充実度:歌手のキャリアや録音コンテクストが詳しく書かれている盤は、聴取体験が深まります。
複数盤を比較する:同一アリアの複数録音(異年)や、同一録音の復刻違いを聴き比べると、演奏解釈やエンジニアリングの差がよく分かります。
デジタル配信も活用:CDが入手困難な場合、配信サービスで合法的に音源が提供されていることがあるため、まずはストリーミングで比較試聴するのも効率的です。
聴きどころ(キェプラ独特の魅力をどう聴くか)
明るく輝く高音と自然な語り口:フォルテの張り出しだけでなく、弱音での語りかけるようなフレージングが魅力。
言語ごとの表現の使い分け:イタリア語ではレガートとオペラ的な押し出し、ドイツ語やポーランド語ではより親しみやすい話法に近づくことが多い。
劇的表現と大衆性の両立:オペラ的な劇性と映画/流行曲的な親しみやすさを兼ね備えた歌唱に注目。
デュエットにおける相互作用:マルタ・エッガースとの掛け合いでは、互いの声質を活かしたコントラストと調和を楽しめます。
入手・聴取の実践的ヒント
まずは総合編集盤または配信のベスト盤で“全体像”を掴む。その後、気に入った曲のオリジナル録音(年・レーベル表記あり)を探して復刻盤で聴き比べる、という流れがおすすめです。
復刻レーベル(歴史音源専門)の版を1〜2枚持つと、当時の音響感を楽しみやすい。ライナーノーツに注釈や出典があるものを選ぶと学習効果が高いです。
デジタル配信で気に入ったら、良い復刻CDを購入して所有するという二段構えも有効。オーディオ的にこだわるなら復刻処理(ノイズ除去やEQ)が穏やかな版を選びましょう。
まとめ
ヤン・キェプラは“オペラのテノール”であると同時に、大衆に愛された歌手でもあり、録音群を通じてその二面性を存分に味わえます。おすすめの聴き方は、まずはコンピレーションで全体像を掴み、次に時期別・テーマ別の復刻盤で深掘りすること。デュエット盤や映画音楽集は、キェプラの人間味と演出力を直感的に感じられるので入門者にも向いています。
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参考文献
- Jan Kiepura — Wikipedia
- Jan Kiepura — Discogs(ディスコグラフィ一覧)
- Jan Kiepura — AllMusic(アーティスト紹介)
- Naxos(歴史音源や復刻盤の検索に便利)
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