多彩な音楽を纏う箱:デューク・エイセス『衣装箱』の魅力探訪

概要
デューク・エイセスが1974年にリリースした『衣装箱』は、「デューク20シリーズ」第3弾としてLPフォーマットのみで東芝レコードから発表されたオリジナル・コンセプト・アルバムである。
タイトルの「衣装箱」は、各楽曲を“衣装”に例え、民謡風からゴスペル調、任侠歌謡、ファンク、バラードまで多彩なジャンルを着替えながら聴かせる企画意図を示している。編曲を八木正生が一手に担い、A面の叙情的なフォーク・ナンバーとB面のファンク/R&B調ナンバーのコントラストが鮮やかに際立つ一枚である。現在では帯付き良品がオークションで6,000円台後半からプレミア価格で取引される希少盤として、コレクターから高い評価を受けている。
1. 企画背景とリリース情報
1974年、結成18年・20周年を記念して東芝音楽工業(東芝レコード)は「デューク20シリーズ」と銘打ち、テーマごとのオリジナル・コンセプト・アルバムを連続リリースした。
その第1弾『博覧会’75』、第2弾『気象台』に続く第3弾として、『衣装箱』はTP-72004のカタログ番号でLPフォーマットのみで発売された。シリーズ全体を通じて、ジャズ、ポップス、民謡からコーラス・アレンジによる実験的要素までを網羅し、グループの多彩な表現力を祝福する狙いがあった。
2. アルバム概要とパッケージ
『デューク・エイセス衣装箱』は東芝レコード・TP-72004として発表され、当時のLPパッケージ仕様を踏襲したシンプルな装丁が特徴である。ジャケットにはモノトーンを基調としたミニマルなデザインが施され、タイトルロゴが際立つビジュアルは1970年代日本のモダンポップスのムードを映し出している。
3. 収録曲と音楽性の解説
A面の抒情と多様性
A面には日本的な叙情性やコーラスの美しさを活かした6曲が並ぶ。
- むぎわら帽子
- 愛と自由とネクタイと
- シターギのゴスペル
- 六尺仁義
- 真夜中のセーター
- シ・ラ・ミ・かくれんぼ
これらの楽曲は、民謡調からバラード、ゴスペル志向のコーラス、任侠歌謡風のリズムなど、多岐にわたるスタイルを一枚のLPに収めることで“衣装箱”のテーマを体現している。
B面のファンク/R&B傾向
B面にはファンクやR&Bの要素を前面に押し出した楽曲が収録されている。特に「ブルージーン・ブルース」はグルーヴ感あふれるベースラインとコーラスが特徴で、後年のリスナーにも強い印象を残している。
4. 制作スタッフ
編曲・一部作曲を務めた八木正生は、グループの重厚なコーラス・サウンドを支えるキープレイヤーとして全曲に統一感をもたらしたほか、山下勇三が作詞を手掛けた「六尺仁義」など、ベテラン制作陣の力量が光る一枚である。
5. リリース当時の評価と後年の再評価
リリース当時はコアなファン層を中心に支持され、テレビやラジオ番組での露出も相まって話題を呼んだ。近年では中古LPとして再評価が進み、特にB面のファンク要素を取り入れた楽曲がヴィンテージ・レコード愛好家の間で再び注目を集めている。
6. コレクター市場での価値
オークション市場では帯付き良品が6,000円台後半で落札される例が多く、状態や付属品の有無によっては1万円近いプレミアが付くこともある。デューク20シリーズを揃えたいコレクターからは、シリーズ完遂のキーアイテムとして『衣装箱』が特に重宝されている。
7. 総括
『デューク・エイセス衣装箱』は、グループの結成20周年を祝したコンセプト・アルバムとして、A面の叙情的なコーラスワークからB面のファンク志向まで、多彩な“衣装”をまとった楽曲群を通じて1970年代日本ポップス/ジャズの可能性を示した貴重な記録である。現在でも希少盤として高い評価を受け続け、日本のボーカル・コーラス史における重要作として輝きを放っている。
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