SUS304TP-Aとは?配管に使われるステンレス鋼管の特徴・用途・規格をわかりやすく解説
建築設備や工場配管、プラント設備などでよく使用される SUS304TP-A。ステンレス鋼管の一種として広く利用されていますが、名称だけでは「どんな特徴があるのか」「どこで使われるのか」が分かりにくい材料でもあります。
本記事では、SUS304TP-Aの意味、特性、JIS規格上の位置づけ、用途、他材質との比較までを、建築・土木分野の技術者向けに詳しく解説します。
SUS304TP-Aとは?
SUS304TP-Aとは、**オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)を使用した配管用の継目無鋼管(シームレス鋼管)**を意味します。
名称はそれぞれ以下の構成で成り立っています。
- SUS304:ステンレス鋼の種類(18Cr-8Ni)
- TP:Tube Pipe(配管用鋼管)
- A:継目無鋼管(Seamless)を示す記号
つまり、SUS304TP-A = SUS304材の継目無ステンレス鋼製配管
という意味になります。
継目がないため耐圧性や信頼性が高く、建築設備から産業設備まで幅広い現場で使用されています。
SUS304TP-Aの特徴
SUS304TP-Aには、ステンレス材と継目無管の特徴が組み合わさることで、以下のような優れた性能があります。
■ 1. 高い耐食性
SUS304はステンレスの中でも汎用性が高く、腐食に強い材質。
赤水が発生しにくく、配管内の水質を保ちやすい。
■ 2. 継目無(シームレス)構造による高耐圧性
溶接継ぎ目がないため、
- 高圧
- 高温
- 振動
- サージ圧
がかかる環境でも信頼性が高いです。
■ 3. 高温環境にも対応
SUS304は高温強度に優れており、
- 温水
- 蒸気
- 加熱ライン
などにも使用可能。
■ 4. 衛生性が高く清浄性に優れる
食品、医薬、クリーンルームなど、衛生性が求められる設備に適します。
■ 5. 長寿命でメンテナンスが少ない
炭素鋼管に比べ長寿命で、ライフサイクルコストを抑えられます。
SUS304TP-Aの規格(JIS G 3459)
SUS304TP-Aは、JIS G 3459:配管用ステンレス鋼鋼管に分類されます。
この規格は、高温・高圧配管にも適用される厚肉ステンレス鋼管を対象としており、プラント・工場設備などの過酷な条件でも使用されるレベルの品質が要求されます。
JIS G 3459 の特徴
- 原則 継目無(A)または溶接(W) がある
- 高圧・高温に対応
- 材質はSUS304、SUS316など
SUS304TP-Aはこの中の 継目無管(A) を意味しています。
SUS304TP-Aの代表的な用途
■ 1. 建築設備(空調・給湯)
- 冷温水配管
- 温水・蒸気ライン
- 高層ビルの立て管
■ 2. 工場・プラント配管
- 化学プラント
- 食品工場
- 医薬品製造ライン
- 半導体製造設備
■ 3. 高温・高圧配管
- ボイラー周り
- 熱交換器
- 蒸気配管
■ 4. 高衛生環境の配管
- 清浄水ライン
- 純水設備
- 医療施設
似た規格との比較(SUS304TP-A vs SUS304TP)
■ SUS304TP-A(継目無)
- 耐圧・耐熱・信頼性が高い
- 高温・高圧配管向け
- プラント/重要設備に採用
- 価格は高い
■ SUS304TP(溶接管:TP-W)
- 継ぎ目あり
- コストが安い
- 建築設備の一般配管向け
- 過度な高圧用途には不向き
SUS304TP-Aを使用するメリット
- 高圧・高温に安心して使用できる
- 腐食環境でも耐久性が高い
- 衛生的で水質を保ちやすい
- メンテナンスサイクルが長い
- 長期的にみてコストパフォーマンスが良い
SUS304TP-Aの注意点・デメリット
■ 1. コストが高め
同じ口径のSGPやSUS304溶接管に比べて割高。
■ 2. 加工・溶接の管理が必要
- TIG溶接
- ルート面のガス管理
- 酸化スケールの除去(ピックリング)
などで品質管理が重要。
■ 3. もらい錆の可能性
鉄粉が付着すると表面が変色することがあるため、現場管理に注意。
まとめ
SUS304TP-Aは、SUS304材による継目無ステンレス鋼鋼管であり、耐食性・耐圧性・耐熱性・衛生性に優れた配管材です。主に JIS G 3459 に規定され、建築設備から高圧プラント設備まで幅広い用途で採用されています。
特に高温・高圧・腐食環境などの厳しい条件下では、SUS304TP-Aは最も信頼性の高い選択肢の一つといえます。
参考文献(クリック可能リンク)
- https://www.jsa.or.jp/
- https://www.jfe-steel.co.jp/
- https://www.gfps.com/
- https://www.kobelco.co.jp/
- https://www.meti.go.jp/


