Blood, Sweat & Tearsの名盤を徹底解説—アル・クーパー期からデヴィッド・クレイトン=トーマス期までのレコード選びと聴き方

Blood, Sweat & Tears — レコードおすすめコラム

1960年代後半から1970年代前半にかけて、ロックとジャズを大胆に融合させたサウンドで一世を風靡したBlood, Sweat & Tears(以下BS&T)。ブラス(管楽器)を中心に据えたアレンジとソウルフルなボーカルが特徴で、アル・クーパー期とデヴィッド・クレイトン=トーマス加入後の「大衆的ヒット期」という、異なる魅力を持つ2つの時代が存在します。本稿では、レコードで聴く価値の高いおすすめアルバムを深掘りして紹介します。

1. Child Is Father to the Man(1968)

アル・クーパー(Al Kooper)を中心とした最初期の作品。BS&Tというグループが本来目指していたジャズ/ブルース/サイケの混淆的な方向性が色濃く残る一枚で、後の「ブラストロック」的な編成とは一線を画します。

  • ポイント:生々しい演奏とブルース寄りの熱量、アル・クーパーのソングライティングが光る。管楽器は既に主要ファクターだが編曲はややアンサンブル志向。
  • 代表曲(レコードで注目すべき曲):"I Can't Quit Her"、"I Love You More Than You'll Ever Know"(感情の起伏がディスクで伝わりやすい)
  • 盤選びの目安:初期のオリジナル・コロンビア盤は風合いが良いが、コロンビア/レガシー系のリマスターや日本盤プレスも音の解像感が高くおすすめ。

2. Blood, Sweat & Tears(セルフタイトル、1968)

バンド最大の商業的成功作。デヴィッド・クレイトン=トーマスが加入して以降の作品で、"Spinning Wheel"、"You've Made Me So Very Happy"、"And When I Die" といったシングルヒットを多数収録。ポップ性とジャズ的アンサンブルの両立が見事です。このアルバムは当時の評価も高く、後世に残る名盤のひとつです。

  • ポイント:ヒット曲の完成度が高く、ブラスがポップ・ソングに鮮やかに絡む。アルバムとしてのまとまり、編曲の巧みさが聴きどころ。
  • 代表曲: "Spinning Wheel"(サビの展開とブラスのコール&レスポンスが印象的)、"You've Made Me So Very Happy"、"And When I Die"
  • 盤選びの目安:オリジナルの1968年プレスは音場の自然さが魅力。近年の180g再発/コロンビア・レガシーのリマスターはノイズ低減や分離が改善されているものが多いので、それらも検討の価値あり。

3. Blood, Sweat & Tears 3(1970)

バンドのサウンドがさらに洗練され、ファンクやR&Bの要素も取り込みつつ幅を広げた作品。楽曲のバラエティが豊かで、演奏力もメンバーの成熟を感じさせます。

  • ポイント:バンドの器楽的なスキルが前面に出ると同時にポップなアプローチも維持。ブラス・アンサンブルの色合いがより多彩に。
  • 代表曲: "Lucretia MacEvil"(グルーヴ感とブラックミュージック性の濃いナンバー) ほか、アルバム全体の聴きごたえがある。
  • 盤選びの目安:時代的にステレオのミックスがしっかりしているため、良コンディションのオリジナル盤や高品質なプレス(重圧盤/リマスター)での再生がおすすめ。

4. ライブ盤 & コンピレーション(入門~聴き比べ向け)

スタジオ作品とは別に、ライブでのブラスの生々しさや即興が光る盤もチェックしたいところです。また、ベスト盤はヒット曲を一度に楽しみたい人、あるいは入門用に適しています。

  • ポイント:ライブ盤ではスタジオ録音とは異なるダイナミクスや即興の緊張感が味わえる。コンピは編集によって曲順やフェードが異なるため、オリジナルLPでの流れを楽しみたい人はスタジオアルバム中心に。
  • 盤選びの目安:ライブは演奏/音質の個体差が大きいので、レビューや盤の音質コメントをチェックすることを推奨。

5. その他の押さえておきたいポイント

  • 時代ごとの編成の違いに注目:アル・クーパー期(初期)とデヴィッド・クレイトン=トーマス期(ヒット期)で音作りや曲の方向性がかなり異なる。好みに応じて時期を選ぶと良い。
  • アレンジと管楽器の聴きどころ:BS&Tの魅力は“どう歌うか”より“どう管楽器を編曲して曲を成立させるか”にあるため、ブラスのフレーズやハーモニーに注目して聴くと新たな発見がある。
  • リイシュー選び:オリジナル・プレスは独特の質感がある一方、レガシーや高品質リマスターはノイズ低減やダイナミックレンジの改善が期待できる。購入時はマスタリングやプレス元の情報を確認すると良い。

まとめ

BS&Tは「ジャズ的技巧」と「ポップな楽曲性」が同居するユニークなバンドです。初期のアル・クーパー作品でバンドの核を理解し、セルフタイトル盤で彼らの商業的頂点を体験する――この流れがレコードで楽しむ際の王道です。さらに、その後の作品やライブ盤で演奏の幅やライブの空気感を補完すれば、バンドの全体像が深く味わえます。

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参考文献