Bill Laswell:ジャンルを溶かすベーシスト/プロデューサーの聴きどころとおすすめ盤ガイド
Bill Laswell:ジャンルを溶かすベーシスト/プロデューサーの世界
Bill Laswellは、ジャズ、ファンク、ダブ、ワールドミュージック、ノイズ、エレクトロニカなどの境界線を自在に横断するベーシスト/プロデューサーです。1970〜80年代のニューヨークの現場で腕を磨き、以降はプロデューサー/コラボレーターとして数え切れないほどのアーティストと共演。自らのバンドやプロジェクトを通じて「ジャンルを溶かす」音楽を提示し続けてきました。本コラムでは、レコード収集(購入)の観点から聴きどころとともにおすすめ作品を深掘りします。
Laswellの音楽的特徴と聴きどころ
ベースとスペース感:Laswellの低音は楽曲の中心を引っぱると同時に、ミックスの「間」を作る役割を担います。ベースの音色選びや空間処理(リバーブ/ディレイ/ダブ処理)が作品の核になっていることが多いです。
ジャンル融合のアプローチ:異文化の楽器/演奏者を積極的に組み込み、ダブやエレクトロニクス的手法で再構築します。ワールドミュージック的要素をロックやジャズと自然に接合するセンスが特徴です。
プロデュース志向:自身の演奏だけでなく、プロデュース/リミックスを通じて他者の音楽を大胆に再解釈することを得意とします。同じ曲でも複数のバージョンが存在することが多く、再構築の妙に注目してください。
コラボレーション志向:John Zorn、Zakir Hussain、Bernie Worrell、Fred Frith、Mick Harrisらジャンルの強者たちと共演・共作してきました。コラボレーション先によって表情が大きく変わるのが楽しみの一つです。
おすすめレコード(聴きどころ付き)
ここでは「Laswellを知る」「Laswellの幅を体感する」を目的に、代表的かつ入手しやすい/影響力のある盤をピックアップします。各作品で注目すべき点と、どんな聴き方が面白いかを添えました。
Bill Laswell — Baselines
聴きどころ:Laswellのソロ名義として、ベースが楽曲の原動力となる作り。ダブ/ジャズ的な感覚とプロデュースの実験性が早期から現れています。Laswellを「個人名義で」追うなら外せない一枚。Material — Memory Serves
聴きどころ:Laswellが旗を振るグループMaterialの初期。ポストパンク的なアティチュードとファンク〜ジャズの融合が光ります。ニューヨークの当時の空気感と、若き日のLaswellの実験精神が詰まっています。Material — Hallucination Engine
聴きどころ:インド古典や打楽器、ファンク、シンセを大胆に混ぜた「ワールド/ジャズ/ダブ」の横断的作品。Zakir Hussainらの打楽器やBernie Worrell的なキーボードが絡み、Laswellの“グローバルなミックス感”がよく出ています。Massacre — Killing Time
聴きどころ:Fred Frithらと組んだパワートリオ的な実験ロック。即興性と荒々しさ、ノイズ的な衝動が直に伝わる作品で、ロック寄りのLaswell像を知るのに最適です。Painkiller — Execution Ground
聴きどころ:John Zorn等との極端なコラボレーションで、グラインドコア的要素とジャズの即興、そこにLaswellならではのダブ処理が施されます。激しさと静寂の対比、長尺のダブ・リミックス的展開が特徴。Tabla Beat Science — (Tala Matrixほか)
聴きどころ:トラディショナルなタブラ奏者とエレクトロニクス、Laswellの低音処理が交わる“東西の接合”。クラブ〜ワールドの中間に位置する音像で、エレクトロニックな側面を味わえます。Sacred Systemシリーズ(Laswellのダブ/ワールド路線)
聴きどころ:Laswellの「サウンド・アーキテクト」としての側面が色濃いプロジェクト。ダブの空間処理と民族楽器のテクスチャーを重ね、瞑想的かつ陶酔的なサウンドスケープを作ります。深く沈み込むような聴取体験が得られます。選曲・リミックス集(Axiom周辺の諸作)
聴きどころ:Laswellが関わったAxiomレーベル周辺のコンピ/リミックス作品は、彼のプロデュース手腕と再構築の美学を俯瞰するのに便利です。複数アーティストが混在するため、Laswell流の編集感覚がよく分かります。
作品の選び方・楽しみ方(レコード購入時の視点)
プロジェクトやバンド名で探す:Bill Laswell名義だけでなく、Material、Massacre、Painkiller、Tabla Beat Science、Sacred Systemなど“プロジェクト名”で探すと作風の幅が掴みやすいです。
コラボレーターから逆引きする:John Zorn、Zakir Hussain、Bernie Worrell、Fred Frithらと一緒にやっている盤はLaswell色が強く出ることが多いので、彼らの作品群から辿るのも有効です。
リミックス/再構築ものを楽しむ:Laswellはプロデューサー/リミキサーとしての仕事が非常に多彩です。オリジナル曲をどう“解体して組み直す”かを聴くと、彼の美学をより深く理解できます。
複数バージョンを比較する:同じ曲の別テイクやリミックスが複数存在することがあるので、違いを比べるとLaswellの編集観が見えてきます。
まとめ(Laswellの聴きどころ総括)
Bill Laswellは「一語で定義しづらい」アーティストですが、核にはいつも低音と空間操作、そして他者を大胆に取り込むプロデュース志向があります。レコードを手に入れるときは、プロジェクト名とコラボレーターを手がかりに、自分の好みの側面(ジャズ寄り、ロック寄り、ワールド/ダブ寄り、エレクトロ寄り)を絞って探すと良いでしょう。まずは上に挙げた盤を入口に、Laswellワールドを横断してみてください。
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参考文献
- Bill Laswell — Wikipedia
- Material (band) — Wikipedia
- Axiom (record label) — Wikipedia
- Painkiller (band) — Wikipedia
- Tabla Beat Science — Wikipedia
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