サム・“ザ・マン”・テイラー:戦後アメリカ音楽を彩ったサックスの巨人と珠玉のレコーディング傑作

本稿では、テネシー州レキシントン出身のテナーサックス奏者サム・“ザ・マン”・テイラー(1916–1990)の生涯とキャリアを縦横無尽に掘り下げます。ニューヨーク録音界でのセッションワークを経て、1955年リリースの代表作『Blue Mist』や1962年の来日録音盤『In Japan』など、ソロ作品とセッション参加作を幅広く解説します。加えて、彼独特のホンキング奏法やジャンプ・ブルースへの貢献、後進への影響、そして日本での再評価についても詳述し、初心者からコア・コレクターまで楽しめる推薦ディスクを紹介します。


概要

サム・“ザ・マン”・テイラーは1916年7月12日にテネシー州レキシントンで生まれ、アメリカのジャズ、R&B、ブルース界を支えたテナーサックス奏者です。
1930年代から1980年代にかけて録音活動を続け、特に1950年代はニューヨークのスタジオに引っ張りだこで、ヒット曲の名演を数多く残しました。
代表作『Blue Mist』(MGM, 1955)はムーディな演奏とスリリングなホンキングが聴きどころで、日本企画の来日録音盤『In Japan』(MGM, 1962)も当時話題を呼びました。


生涯とキャリア

初期の歩み

  • 1916年–1930年代
    テネシー州レキシントンに生まれたサムは、地元や隣州アラバマで演奏経験を積み、ビーマ・ステート・コレギアンズなど大学バンドで腕を磨きました。
  • 1940年代
    クーティー・ウィリアムスやラッキー・ミリンダー、キャブ・キャロウェイといった大物バンドに参加し、多彩なスタイルを吸収。

セッションミュージシャンとしての全盛期

1950年代半ば、サムはニューヨークのレコーディングスタジオで“ひっぱりだこ”となり、ビッグ・ジョー・ターナー「Shake, Rattle and Roll」やコードズ「Sh-Boom」、クライド・マクファター&ザ・ドリフターズ「Money Honey」など、多数の大ヒットに華を添えました。

リーダー作と来日活動

  • ソロ/リーダー作
    • 『Blue Mist』(MGM, 1955)…ムーディなトーンと熱演が融合した名盤です。
    • 『Swingsation』(AllMusic編, 1999)…後年のコンピレーションながら、代表曲を網羅。
  • 来日録音
    1962年にリリースされた『In Japan』は、東京録音の貴重なジャズ盤としてコレクターに人気です。

ディスコグラフィー概観

主なソロ/リーダー・アルバム

年代タイトルレーベル
1955Blue MistMGM
1956Music with the Big BeatMGM
1956Out of This WorldMGM
1957Rockin’ Sax and Rollin’ OrganMGM
1958Jazz for CommutersMetroJazz
1959More Blue MistMGM
1962Mist of the OrientMGM
1962In JapanMGM
1962The Bad and the BeautifulMoodsville
1962Misty MoodDecca
1963It’s a Blue WorldDecca
1963Watermelon Man (with Frank Hunter)Epic

主なセッション参加作品

  • Shake, Rattle and Roll – Big Joe Turner
  • Sh-Boom – The Chords
  • Money Honey – Clyde McPhatter & The Drifters
    いずれも彼のホンキングが光る名演として知られ、ロックンロール黎明期におけるサックスの定義を塗り替えました。

演奏スタイルと技術

サムのテナーは、太くワイルドな音色と奔放な“ホンキング”(honking)奏法が特徴です。ブルース由来のリフを織り交ぜつつ、ジャンプ・ブルースやR&Bの躍動感を存分に引き出しました。


影響と評価

そのエネルギッシュな演奏は、後のロックンロールやR&Bセッション奏者に多大な影響を与えています。特に1950年代の録音におけるスタンダードなテナーサックス像は、サムの仕事抜きには語れません。


推薦ディスク

入門編

  • Blue Mist (MGM, 1955) …彼の代表作にして入門盤。初心者にも楽しめる一枚です。
  • Jazz for Commuters (MetroJazz, 1958) …軽快な選曲と演奏が通勤リスナーにも最適。

コアファン向け

  • Sax Supreme: The Singles & Albums Collection 1949–58 (編集盤, 2023) …初期シングルからアルバムまでを網羅。レアトラック多数収録。
  • In Japan (MGM, 1962) …日本録音ならではのユニークなスタジオ・サウンドを堪能できます。

結論

サム・“ザ・マン”・テイラーは、その強烈なホンキング奏法とセッションワークで戦後アメリカ音楽史を彩った巨匠です。数多くのヒット曲やアルバムでその存在感を示し、今なおジャズ・R&B・ロックンロールをつなぐ架け橋として再評価されています。彼の録音群からは、一聴して心が躍る“生の熱量”を感じ取ることができるでしょう。


参考文献

  • Wikipedia: “Sam Taylor (saxophonist)”

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