YMOの革新サウンドを紐解く:人気曲5選徹底解説

Yellow Magic Orchestra(以下YMO)は、1978年に東京で細野晴臣(ベース、鍵盤)、坂本龍一(鍵盤)、高橋幸宏(ボーカル、ドラム)の3人により結成されたエレクトロニックバンドです。1978年にデビューシングル「Firecracker」をリリースし、1979年発売の2ndアルバム『Solid State Survivor』ではオリコンチャート1位を獲得するなど商業的成功を収めました。YMOはローランドTR-808やPolymoogといった最先端シンセサイザーやドラムマシンを積極的に導入し、アーケードゲーム音のサンプリングを取り入れるなど、当時としては前例のないサウンドメイクでシンセポップおよびテクノの先駆者として世界に大きな影響を与えました。

本コラムでは、YMOを代表する人気曲5曲――「Firecracker」「Yellow Magic (Tong Poo)」「Technopolis」「Rydeen」「Behind the Mask」――の背景、音楽的特徴、影響を詳しく解説します。


1. Firecracker

1978年にYMO初のシングルとして日本でリリースされ、翌1979年には「Computer Game」との合体シングルとして米英でも発売されました。
細野晴臣が編曲を手がけた本作は、マーティン・デニーによる同名の楽曲をモチーフにしつつも、完全にシンセサイザーとドラムマシンだけで再構築されています。特にローランドTR-808の機械的なビートを楽曲の核に据えたことで、のちのエレクトロやチップチューン・シーンに多大な影響を与えました。

米国では40万枚以上を売り上げ、ヒップホップやダンスミュージックのプロデューサーたちにもサンプリングされるなど、YMOの海外進出を象徴する重要な作品となりました。


2. Yellow Magic (Tong Poo)

正式タイトル「Tong Poo(東風)」は、中国語読みで「東風」を意味し、1978年リリースのデビューアルバム『Yellow Magic Orchestra』に収録された長尺のインストゥルメンタル曲です。
作曲は坂本龍一が担当し、中国音階を思わせるエキゾチックなメロディと複雑なポリリズムを融合させた構成は、当時としては極めて前衛的でした。環境音楽的な要素も持ち合わせ、以後のシンセポップやアンビエントの流れにも大きな影響を与えています。

ライブではオープニングナンバーに据えられることが多く、近年に至るまでアレンジを重ねながら演奏され続ける、YMOの象徴的ナンバーです。


3. Technopolis

1979年に2ndアルバム『Solid State Survivor』の冒頭トラックおよび先行シングルとしてリリースされた楽曲で、YMO初のシングル作品でもあります。
タイトルは「Technology」と「Metropolis」を組み合わせた造語で、東京をはじめとする先端都市のハイテク化を音で体現する近未来的なシンセリフとエレピのサウンドが印象的です。

オリコンシングルチャートでは最高位9位を記録し、約29万枚を売り上げるヒットとなりました。デトロイト・テクノの先駆者たちにも影響を与え、「テクノポリス」という概念を音楽ジャンルとして定着させた作品です。


4. Rydeen

1980年にシングルリリースされ、『Solid State Survivor』を代表するインストゥルメンタル楽曲です。
ハードなシンセリードによるキャッチーなテーマメロディは、高度なコード進行とメロディの展開を兼ね備え、当時のポップ・インストゥルメンタルとしては異例の完成度を誇ります。

オリコンチャートでは最高位15位、約22万枚を売り上げ、以降もYMOのライブ定番曲として演奏され続けています。また、1982年のセガゲーム『スーパー・ロコモーティブ』のテーマにアレンジされるなど、エンタメ領域にも波及した楽曲です。


5. Behind the Mask

もともと1978年にセイコーのクオーツ腕時計CM用に制作されたインストゥルメンタルで、1979年の『Solid State Survivor』に収録されました。
後にクリス・モズデルが英詞を付け、坂本龍一自身もヴォコーダー唱法でセルフカバーを行ったほか、マイケル・ジャクソンやエリック・クラプトン、オービタルら多くのアーティストがカバーし、YMOの国際的なレガシーを象徴する一曲となりました。

特にマイケル・ジャクソン版は1982年の『Thriller』収録が計画されながらも見送られ、最終的に2010年のポストヒューマス『Michael』でリリースされた背景があります。


YMOはこれらの楽曲を通じて、シンセサイザーと電子楽器による新たな音楽表現を切り拓き、世界中のミュージシャンやリスナーに「テクノ」「シンセポップ」「チップチューン」といったジャンルの可能性を示しました。その革新性は現在まで色あせることなく受け継がれ、現代のダンス/ポップ・ミュージックに多大な影響を与え続けています。


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