サーフからポケット・シンフォニーまで:ビーチボーイズ6大名曲

本稿では、ビーチ・ボーイズを代表する6曲――「Surfin’ U.S.A.」(1963年3月4日リリース、Billboardチャート3位)、「I Get Around」(1964年5月11日リリース、初のBillboard1位)、「California Girls」(1965年7月12日リリース、Billboard3位)、「Wouldn’t It Be Nice」(1966年5月16日アルバム『Pet Sounds』リードトラック、7月18日にシングル化しBillboard10位/英国2位)、「Good Vibrations」(1966年10月10日リリース、全米・全英1位)、「God Only Knows」(1966年7月18日リリース、バロックポップの傑作)――について、各曲のリリース背景、制作過程における技術的・表現的革新、歌詞テーマ、チャート成績、そして音楽史における評価と影響を幅広く分析しました。

1. Surfin’ U.S.A.

リリース背景とチャート成績

「Surfin’ U.S.A.」は1963年3月4日、Capitolレーベルからシングル発売されました。B面は「Shut Down」で、同曲と合わせてBillboard Hot 100チャートで3位に到達し、年間チャートでは1963年の「ベストセラー・レコード」としても評価されています。

構成と作曲

楽曲はチャック・ベリーの「Sweet Little Sixteen」の基本構成に、新たにブライアン・ウィルソンが作詞を施したもので、サーフ・カルチャーへの愛着を描写しています。ステディなビートと、タイトなドラミングが特徴的です。

レガシー

本曲は「カリフォルニア・サウンド」の象徴として、多くのアーティストに影響を与えました。ブライアン・ウィルソン自身も後年、「カリフォルニアの楽園的イメージを音楽で表現した」と語っています。

2. I Get Around

リリースと背景

「I Get Around」は1964年5月11日にシングルリリースされ、『All Summer Long』のオープニングを飾りました。作詞・作曲はブライアン・ウィルソンとマイク・ラブの共作で、成功と名声への高揚感を自伝的に歌っています。

録音と構成

ロサンゼルスのWesternスタジオで4月2日から10日にかけて録音が行われ、イントロのア・カペラによるコード進行(I–VI–ii–VII–V)が印象的です。歌詞は「新しい場所を探し求める若者のエネルギー」を表現しています。

影響と評価

本作はビーチ・ボーイズにとって初のBillboard1位を獲得し、英国やカナダでも首位に立ち、ビートルズとの「ライバル意識」を生みました。2017年にはグラミー殿堂入りも果たしています。

3. California Girls

リリースとチャート

「California Girls」は1965年7月12日にシングル化され、Billboard Hot 100で3位を記録しました。同年発売のアルバム『Summer Days (And Summer Nights!!)』にも収録されています。

制作の革新性

曲の冒頭オーケストラルなイントロは、ブライアン・ウィルソンが初のLSD体験下で構想したもので、マイク・ラブとの共作によって完成しました。層状のボーカルと複雑な半音階進行も特徴です。

影響と評価

ウィルソン自身が「若者への賛歌」と呼び、本作を自身のお気に入りに挙げています。2010年にグラミー殿堂入り、2011年にはRolling Stone誌の「史上最高の楽曲ランキング」で72位に選出されるなど、正当な評価を得ています。

4. Wouldn’t It Be Nice

リリースとチャート

「Wouldn’t It Be Nice」は1966年5月16日にアルバム『Pet Sounds』のリードトラックとして発表され、7月18日にシングル化されました。Billboardで最高10位、英国で2位を記録しています。

録音と技術的工夫

ゴールドスター・スタジオでのセッションでは、アコーディオンに独特の奏法を用い、ティンパニにリバーブをかける手法を採用しました。異なるキーの譜面を混在させるブライアン流アレンジも話題となりました。

意味と影響

歌詞は「将来への夢見る希望」を描き出し、当初はバンド内で理解が得られなかったものの、後に『Pet Sounds』全体の評価を高める重要曲となりました。

5. Good Vibrations

リリースとチャート

「Good Vibrations」は1966年10月10日にシングルリリースされ、全米・全英チャートで1位を獲得。リリース初週で約23万枚を売り上げ、同年末までにミリオンセラーとなりました。

録音とモジュラー構成

1966年2月から9月にかけ、ロサンゼルスの4つのスタジオで断片的に録音を重ね、90時間以上のテープと30人以上のセッション・ミュージシャンを投入。制作費約7万~10万ドルを投じられ、「ポケット・シンフォニー」と称されました。

革新とレガシー

エレクトロ・テルミンの使用や多重構成は、後のサイケデリック/プログレッシブ・ポップに大きな影響を与え、現代の音楽制作手法におけるスタジオの「楽器化」を先導した金字塔的作品です。

6. God Only Knows

リリースと背景

「God Only Knows」は1966年5月14日にアルバム『Pet Sounds』のB面冒頭として発表され、同年7月18日に「Wouldn’t It Be Nice」との両A面でリリースされました。ブライアン・ウィルソンとトニー・アッシャーの共作です。

作曲と編曲の革新

バロック・ロック様式を取り入れ、対位法的コーラスと転調を多用し、EとAの弱いトーナルセンターを行き来する構成が特徴です。歌詞は「神のみぞ知る」という主題をポップソングで初めてタイトルに据えた点でも画期的でした。

意味と評価

当初は先鋭的とみなされましたが、ポール・マッカートニーら多くの音楽関係者から「史上最高のラブソング」と称賛され、今日ではビーチ・ボーイズ最高傑作の一つとされています。

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