アンドロジナスな革命を巻き起こしたポップの旗手――カルチャー・クラブの軌跡

カルチャー・クラブは1981年、ロンドンで新ロマンティック・シーンの中心的存在として誕生し、ボー・ジョージ(ヴォーカル)、ロイ・ヘイ(ギター・キーボード)、ミーキー・クレイグ(ベース)、ジョン・モス(ドラム)の4人で構成されたバンドです。
デビュー前からボー・ジョージのアンドロジナスなファッションが注目を集める中、1982年9月リリースのシングル「Do You Really Want to Hurt Me」がUKチャート1位、USシングル・チャート2位を記録。続くデビュー・アルバム『Kissing to Be Clever』は全世界で約400万枚を売り上げ、ニュー・ウェイヴとソウルを基盤に、レゲエやカリプソ、サルサ、カントリーなど多彩な要素を取り入れたサウンドで一気にブレイクしました。
1983年にはセカンド・アルバム『Colour by Numbers』が全世界で1000万枚以上を売り上げ、その代表曲「Karma Chameleon」はUKおよびUSでナンバーワンを獲得。1984年にはブリット・アワードとグラミー賞の主要部門を総なめにし、MTVブームを象徴するセカンド・ブリティッシュ・インベイジョンの旗手となりました。
以降も1998年、2002年、2014年と再結成を繰り返し、2020年には『Rainbow in the Dark』ライブ・ストリーミングを開催。2024年のロンドンO2アリーナ公演では輝きを保つステージと、一部でボー・ジョージの声質を問う声が交錯するなど、活動の幅を広げ続けています。
結成と初期の躍進
メンバーとバンド名の由来
1981年、ブリッツ・クラブの常連であったボー・ジョージがミーキー・クレイグに誘われ、ジョン・モスとロイ・ヘイが加わり、バンドが結成されました。バンド名は、多様な人種や背景を持つ4人の姿から発想されたものであり、その名称には“文化交流”の精神が込められていました。
デビュー・アルバムと初ヒット
1982年5月と6月にリリースされた「White Boy」と「I’m Afraid of Me」はチャートに届きませんでしたが、同年9月の「Do You Really Want to Hurt Me」は23か国でトップ10入りを果たし、UKシングル・チャート1位、米国シングル・チャート2位を獲得する大ヒットとなりました。同年10月に発売されたデビュー・アルバム『Kissing to Be Clever』はUKで5位、米国で14位を記録し、全世界で約400万枚を売り上げ、米国ではプラチナ認定を取得しています。
ブレイクスルーと黄金期
『Colour by Numbers』と世界的成功
1983年10月にリリースされた2作目のアルバム『Colour by Numbers』は、UKチャートで1位、米国チャートで2位を獲得し、全世界で1000万枚以上を売り上げました。このアルバムはローリング・ストーン誌の「1980年代ベスト100アルバム」にも選出され、ポップ・ミュージック史に残る作品となっています。
代表シングルの軌跡
- 「Church of the Poison Mind」はUKおよび米国でトップ10入りし、ヘレン・テリーのコーラスが印象的なナンバーとして支持を集めました。
- 「Karma Chameleon」はUKで1983年最売上シングル(150万枚超)となり、米国では3週連続1位を記録。30か国以上でチャートトップに立ち、世界で700万枚を超えるセールスを誇ります。
- その他にも「Miss Me Blind」(米国5位)、「It’s a Miracle」(UK4位、米国13位)、「Victims」(UK3位)といったヒット曲を立て続けに放ちました。
- 1984年にはブリット・アワードで最優秀グループ賞と最優秀シングル賞を受賞し、同年のグラミー賞では最優秀ニュー・アーティスト賞を獲得しています。
音楽性とステージ
多様な音楽要素の融合
カルチャー・クラブのサウンドは、ニュー・ウェイヴとアメリカン・ソウルを軸に、ジャマイカン・レゲエやカリプソ、サルサ、カントリーなどの要素を大胆に融合させた点が大きな特徴です。
アンドロジナスなファッション
ボー・ジョージは性別の枠を超えた装いでデビュー当時から話題を呼び、英国のタブロイド紙にもたびたび取り上げられました。近年では、ハリー・スタイルズらのジェンダーフルイドなファッションを支持する発言を行うなど、ファッション・アイコンとしての影響力を保っています。
受賞歴と影響
主な受賞とノミネート
- 1984年:ブリット・アワード(最優秀グループ賞、最優秀シングル賞)受賞
- 1984年:第26回グラミー賞 最優秀ニュー・アーティスト賞受賞
- その他、アメリカン・ミュージック・アワードやMTVビデオ・ミュージック・アワード、ジュノー賞などで多数のノミネート歴があります。
セカンド・ブリティッシュ・インベイジョン
MTVを背景に、10曲以上のシングルを米国トップ40入りさせたカルチャー・クラブは、いわゆる“セカンド・ブリティッシュ・インベイジョン”の代表格とされ、1980年代の米ポップ・シーンに大きな影響を与えました。
再結成と近年の活動
再結成の歩み
1986年に一度解散した後、1998~2002年および2011年以降に再結成を果たしました。2014年にはオリジナルメンバーでのツアーを計画しましたが、喉のトラブルで一部中止となりました。翌2015年からは世界ツアーを再開し、2016年にはワールドツアーをDVD化するなど、精力的に活動を続けています。
ライブ活動とファンとの交流
2020年にはライブストリーミング形式のコンサート『Rainbow in the Dark』を開催し、世界中のファンとオンラインでつながりました。2024年のロンドンO2アリーナ公演では、セットリストやステージ演出が高く評価される一方で、ボー・ジョージの声の変化を指摘する声も上がり、賛否両論が巻き起こりました。
結論:レガシーと未来
カルチャー・クラブは、1980年代のポップにアンドロジナスな美意識と多文化的サウンドをもたらし、社会的・音楽的な枠を超える表現の可能性を切り開いた存在です。全世界で5000万枚以上のレコードを売り上げたそのレガシーは、現代のポップ/ファッションシーンにも色濃く影響を与え続けています。今後も新たな形で伝説が紡がれていくことが期待されます。
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