カナダ発・80年代ニューウェーブの象徴「Platinum Blonde」

1980年代、音楽業界に新たな風を巻き起こしたバンド「Platinum Blonde」は、カナダ・トロントを拠点にし、華やかなビジュアルと洗練されたサウンドで若者たちを魅了しました。彼らは、ただ音楽を奏でるだけでなく、時代を象徴するファッション、映像表現、そしてエネルギッシュなパフォーマンスで、一世を風靡しました。ここでは、その誕生から挫折、そして再結成に至るまでの軌跡と、音楽シーンに与えた多大な影響について詳しくご紹介します。

バンドの誕生と初期の歩み

フォーカスは「The Police」からオリジナルへの転換

元々、Mark Holmesはロンドン出身の青年として、カナダへ移住後、The Policeのカバーバンドとして活動していました。1979年、Joey CiottiやRay Bailieとともに結成された初期のプラスチナブロンドは、カバーバンドとしてその腕を磨きながら、やがて自身のオリジナル楽曲への情熱を燃やしていきます。1982年、Holmesは新聞広告を出して新たな仲間を募集し、ギタリストのSergio GalliとドラマーのChris Stefflerが加わることで、現在おなじみのラインナップが整いました。こうした背景が、彼らの音楽に独自のエッジと革新性をもたらす原動力となりました。

1983年のデビューEPと「Standing in the Dark」

1983年にセルフタイトルのEP『Platinum Blonde』(別名「Six Track Attack」)をリリースすると、すぐにCBS Records Canadaとの契約が成立。翌1984年に発表されたフルアルバム『Standing in the Dark』は、EPの内容に4曲を追加する形で制作され、瞬く間にカナダ国内で大ヒットとなりました。このアルバムは、トリプルプラチナを記録し、シングル「Doesn't Really Matter」や「Standing in the Dark」は、当時の映像メディアMuchMusicで頻繁に放送され、バンドの名を全国に知らしめることになりました。

音楽性とスタイルの革新

ニューウェーブとポップロックの融合

Platinum Blondeのサウンドは、ニューウェーブのエッセンスとポップロックのキャッチーさを見事に融合しています。Mark Holmesの英国訛りを活かしたボーカル、Sergio Galliの洗練されたギターワーク、そしてドラマーのリズミカルなドラムは、Duran DuranやThe Policeといった海外の人気バンドと比較されるほどの完成度を誇ります。さらに、1985年に発売された2作目のアルバム『Alien Shores』では、ファンクやサイエンスフィクションをテーマにした楽曲群が展開され、特に「Crying Over You」はカナダ国内でナンバーワンを記録するなど、その挑戦的なサウンドが多くのリスナーの心を捉えました。

派手なビジュアルとメディア戦略

1980年代はミュージックビデオが登場し、アーティストのビジュアルが重要視される時代でした。Platinum Blondeは、メンバー全員がブロンドヘアに整えた大胆なヘアスタイルと、洗練されたファッションで「ティーン・アイドル」としての地位を確立。ミュージックビデオは、単なるプロモーションツールに留まらず、彼らの音楽世界観を視覚的に表現する重要な手段となりました。これにより、テレビやビデオ専門チャンネルを通じて、国内外の幅広い層にその魅力が伝わり、今もなお80年代ロックの象徴として語り継がれています。

内部葛藤と挫折の影

急成長と同時に訪れた試練

急激な人気上昇の裏には、メンバー間の意見の相違や、音楽レーベルとの契約問題、さらには個々の生活や音楽的方向性の変化といった内部葛藤がありました。1987年にはドラムのChris Stefflerの交代、そして1989年には一度の解散へと至ります。解散後、短期間ながら「The Blondes」という名で再挑戦したものの、当時の熱狂を再現することはできず、バンドとしての活動は一旦幕を閉じることになりました。

個々の進路とその後の影響

解散後、各メンバーはそれぞれ異なる道を歩みました。特に、元メンバーのKenny MacLeanは、ソロ活動に転じ、また建築デザインの分野でも成功を収めました。一方、Mark Holmesはカリフォルニアや英国での活動を経て、再びトロントへ戻り、音楽以外にもクラブ経営やDJ活動など、多彩な分野でその才能を発揮しています。

再結成と新たな挑戦

時代を超えた再生

かつての輝きを知るファン層は年月とともに成長し、懐かしさと共に新たな視点を持って再びPlatinum Blondeに注目するようになりました。2010年、オリジナルメンバーであるMark Holmes、Sergio Galli、そしてChris Stefflerが再結成し、トロントの伝説的ライブハウス「Mod Club Theatre」で記念すべき復活ライブを開催。この再結成は、当時のファンはもちろん、若い世代にも大きな話題となり、バンドの歴史に新たなページが刻まれました。

新作アルバムとライブ活動の展開

2012年には、新作アルバム『Now & Never』をリリースし、当時のヒット曲に加えて新たな楽曲群を展開。ライブパフォーマンスにおいても、エネルギッシュなステージングと、80年代のノスタルジアを感じさせる一方で現代的なアレンジを取り入れることで、幅広い世代のファンを魅了しています。また、近年はJustin "Juice" Kadisをドラマーとして迎え、トリオ体制での活動が新たなサウンドの探求にもつながっています。

影響と文化的遺産

カナダ音楽シーンへの多大な影響

Platinum Blondeは、単なるヒットメーカーとしてだけでなく、カナダ発のロックバンドが国際市場に挑む道を切り拓いた先駆者としての評価を受けています。彼らの成功は、カナダ国内の音楽産業にとって大きな転換点となり、その後の多くのバンドやアーティストに影響を与えました。音楽ビデオを通じたプロモーション戦略、ファッション性を重視したビジュアル、そしてライブパフォーマンスの一体感は、後続の世代にも多くの示唆を与え続けています。

再結成後の現代的な評価

再結成以降、Platinum Blondeは懐かしさだけでなく、現代の音楽シーンにおける再評価も受けています。例えば、Crystal Castlesとのコラボレーションや、カナダの音楽賞ホール・オブ・フェームへの選出など、彼らの影響力は依然として健在です。また、再結成ライブは、当時を知らない若い世代にも80年代ロックの魅力を伝える貴重な機会となっており、音楽文化の継承という点でも大きな意義を持っています。

まとめ

Platinum Blondeは、華やかな80年代のサウンドとスタイルを象徴するバンドとして、解散と再結成という波乱万丈の歴史を経ながらも、常に新しい挑戦を続けてきました。彼らの革新的な音楽性とビジュアル、そして時代を超えたライブパフォーマンスは、今なお多くのファンの心に深く刻まれ、カナダ音楽史の金字塔として語り継がれています。今後も彼らの軌跡は、音楽の進化と共に新たな伝説を生み出し続けることでしょう。


参考文献

1.https://en.wikipedia.org/wiki/Platinum_Blonde_%28band%29
2.https://en.wikipedia.org/wiki/Mark_Holmes_%28musician%29
3.https://en.wikipedia.org/wiki/Alien_Shores

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