『The Pink Panther』サントラLP:音楽史とコレクターズガイド
ヘンリー・マンシーニによる映画『The Pink Panther』のオリジナル・サウンドトラックLPレコードについて、その制作背景から音楽的特徴、ジャケットデザイン、リイシュー情報、そしてコレクター視点での押さえどころまでを詳しく解説します。本作は1964年にRCA Victorからモノラル盤(LPM‑2795)とステレオ盤(LSP‑2795)で発売され、1964年4月にビルボード・ポップアルバムチャートで最高8位を記録。タイトル曲「The Pink Panther Theme」はプラス・ジョンソンの印象的なテナーサックスをフィーチャーし、ビルボードのアダルトコンテンポラリーチャートでもトップ10入りを果たしています。グラミー賞ノミネートやアカデミー賞ノミネートに加え、2001年のグラミー殿堂賞受賞、2005年のAFI「100年の映画音楽」20位ランクインなど、映画音楽史に残る名盤です。
リリースと制作背景
『The Pink Panther: Music from the Film Score Composed and Conducted by Henry Mancini』は、1964年にRCA Victorからモノラル盤(型番LPM‑2795)とステレオ盤(LSP‑2795)の2仕様で発売されました。録音セッションは1963年9月16日から18日にかけてハリウッドのRCAスタジオで行われ、プロデューサーはジョー・レイスマンが務めています。全曲の演奏時間は約28分58秒と、サウンドトラックとしてはコンパクトながら濃密な内容となっています。
映画との連携と演奏陣
本作は1963年公開のコメディ・ミステリー映画『The Pink Panther』向けに書き下ろされたスコアで、主演はデヴィッド・ニーヴンとピーター・セラーズが務めました。ヘンリー・マンシーニ自身が指揮を担当し、プラス・ジョンソン(テナーサックス)、シェリー・マン(ドラム)、ジミー・ローズ(ピアノ)など当時のハリウッドを代表するスタジオミュージシャンが多数参加しています。
アルバム概要
収録曲とトラック解説
Side Aには、冒頭のEマイナーのイントロがミステリアスな雰囲気を醸し出す「The Pink Panther Theme」、軽快なラテンリズムが心地よい「It Had Better Be Tonight (Meglio Stasera)」のインストゥルメンタル版など全6曲が収録されています。続く「Royal Blue」ではミュートトランペットがメロウに響き、「Champagne and Quail」ではビッグバンド的なスウィング感が楽しめます。さらに「The Village Inn」や「The Tiber Twist」がサイドAを彩ります。
Side Bには、ジョニー・マーサー共作のボーカル版「It Had Better Be Tonight (Meglio Stasera)」をはじめ、「Cortina」「The Lonely Princess」など映画の情景を想起させる6曲が並びます。また、「Something for Sellers」や「Piano and Strings」、短編曲「Shades of Sennett」でアルバムを締めくくります。
音楽的特徴
「The Pink Panther Theme」の魅力
メインタイトル曲「The Pink Panther Theme」は、EマイナーのイントロからGマイナーへのブリッジを経て再びEマイナーに戻る巧妙な構成が特徴です。プラス・ジョンソンの妖艶なテナーサックスがミステリアスな世界観を演出し、リリース直後にビルボードのアダルトコンテンポラリーチャートでトップ10入りを果たしました。
その他の注目トラック
「It Had Better Be Tonight (Meglio Stasera)」はイタリア語タイトルが示す通りラテンのリズムを取り入れたナンバーで、マンシーニとマーサーの共作が鮮やかに響きます。一方で「Champagne and Quail」や「The Tiber Twist」はビッグバンド/フィルムノワール的な緊張感を高め、サスペンスやコメディの各シーンを音楽的に支えています。
ジャケットデザインとアートワーク
ジャケットには、オープニングアニメーションでおなじみのピンクのパンサーキャラクターが全面に配され、ブラック×ピンクのシンプルながらポップな配色が目を引きます。デヴィッド・デパティとフリッツ・フレーレングによるキャラクターデザインは、音楽と同様に時代を超えて愛され続けています。
リイシューとコレクタブル性
180g重量盤ゲートフォルド再発
2013年にはヨーロッパ限定で180g重量盤ゲートフォルド仕様のデラックスエディションがリリースされ、高品質プレスと新規マスタリングがファンの話題を呼びました。
ピンクヴァイナル特別プレス
2014年のレコードストアデイ向けにはピンクカラー・ヴァイナルの限定盤が発売され、オリジナル音源を忠実に再現しつつビジュアル面でもコレクターの心を刺激しました。
レガシーと評価
本作は商業的にも成功を収め、1964年4月にビルボード・ポップアルバムチャートで最高8位、計41週間ランクインを果たしました。グラミー賞ではアルバム部門とポップ・インストゥルメンタル演奏部門にノミネートされ、2001年にはグラミー殿堂賞を受賞。さらに、AFIの「100年の映画音楽」では20位にランクインし、AllMusicでは4.5星の高評価を獲得しています。
以上、『The Pink Panther』サウンドトラックLPの魅力を余すところなく解説しました。音楽的完成度の高さと洗練されたデザイン、美麗なリイシューの数々は、初心者からコレクターまで幅広いリスナーにおすすめできる一枚です。
参考文献
- https://en.wikipedia.org/wiki/The_Pink_Panther%3A_Music_from_the_Film_Score_Composed_and_Conducted_by_Henry_Mancini
- The Pink Panther Theme - Wikipedia
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