永遠を紡ぐファンタジー——『The NeverEnding Story』サントラ
1984年公開の映画『The NeverEnding Story』のサウンドトラックについて、制作背景から楽曲構成、リリースの歩み、音楽的特徴、評価・影響までを網羅的に解説します。ドイツ人ジャズ作曲家クラウス・ドルディンガーによる叙情的なオーケストラルスコアと、イタリアの電子音楽界の巨匠ジョルジオ・モロダーによるシンセサウンド、そしてリマール歌唱の主題歌「Never Ending Story」が一体となった本作は、リリース以来、幾度もの再発を重ねながら、ファンタジー映画音楽の金字塔として愛され続けています。
制作背景
オーケストラルスコア:クラウス・ドルディンガー
クラウス・ドルディンガーは、ドイツのジャズ~フュージョン・バンドPassportのリーダーとして知られる実力派です。本作ではグラウンケ交響楽団を指揮し、ファンタジアの神秘的で壮大な世界観を豊かに描き出すテーマ群を創出しました。
シンセ&ポップ:ジョルジオ・モロダーとリマール
北米版公開に際しては、電子ディスコ界の重鎮ジョルジオ・モロダーが一部トラックを再スコアし、イギリス出身のシンガー・ソングライターLimahl(リマール)がタイトルテーマ「Never Ending Story」を新たに歌唱しました。英語版ではBeth Andersenがコーラスを、フランス語版「L’Histoire Sans Fin」ではAnn Calvertがヴォーカルを担当するなど、多彩なアレンジが施されました。
構成とトラックリスト
オリジナル版(15曲)
オリジナル北米盤/欧州盤は、Moroder録音のエレクトロ・ポップ5曲と、Doldinger録音のオーケストラ10曲で構成されています。
- Moroderサイド(1–5)
- Never Ending Story (Limahl)
- Swamps of Sadness
- Ivory Tower
- Ruined Landscape
- Sleepy Dragon
- Doldingerサイド(6–15)
6. Bastian’s Happy Flight
7. Fantasia
8. Atreyu’s Quest
9. Theme of Sadness
10. Atreyu Meets Falkor
11. Mirrorgate – Southern Oracle
12. Gmork
13. Moonchild
14. The Auryn
15. Happy Flight
拡張版・限定盤
- 1990年10月17日:EMI/CapitolによるCD&カセット版がリリースされました。
- 2017年5月22日:Film Music Festival Krakow限定CD(78分収録)が発売されました。
- 2017年8月18日:Cherry Red Records拡張版CD〈Collector’s Edition〉(ボーナストラック多数)が発売されました。
- 2025年Record Store Day:Starlightカラー・ヴァイナル1LP(Parlophone)が限定リリースされました。
リリースとフォーマット
初版は1984年1月1日にParlophone Recordsより15曲収録でリリースされました。その後、EMI/Capitol、Cherry Red、各種フェスティバル限定盤など、多彩なレーベルとフォーマットで再発が重ねられています。CD、カセット、デジタル配信、限定カラーヴァイナルなど、リスナーのニーズに応じた多様な仕様が用意されました。
音楽的特徴と楽曲分析
本作の魅力は、叙情的なオーケストラルテーマとエレクトロニックパートが絶妙に融合している点にあります。
- オーケストラルテーマ
「Bastian’s Happy Flight」は主人公の初飛行を象徴する高揚感あふれるメロディを展開し、ファンタジアの美しさを繊細に描写しています。 - 電子シンセテクスチャー
「Ivory Tower」ではシンセベースのリズムとアルペジオが幻想的な空気を醸し出し、80年代サウンドのエッセンスを強く感じさせます。 - タイトルテーマ
LimahlのヴォーカルとBeth Andersenのコーラスが絡み合う「Never Ending Story」は、ノスタルジックなシンセポップの名曲として各国チャート上位を席巻しました。
評価と影響
リリース当初は「オーケストラとシンセの融合に賛否両論があった」という評価もありましたが、現在では「作品全体が忘れがたい」と高い支持を得ています。さらに、2019年の海外ドラマ『Stranger Things シーズン3』で「Never Ending Story」が劇中歌として登場したことで、SpotifyやYouTubeでの再生数が急増し、新たな世代にもファンタジアの世界を広めるきっかけとなりました。
以上のように、『The NeverEnding Story』サウンドトラックは、ドルディンガーの叙情的スコアとモロダーのエレクトロニックサウンド、そしてリマールの歌唱が一体となった異色の名作です。多彩なフォーマットで時代を超えて再発され続け、その魅力は今なお色あせません。
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