盲目の天才スティーヴィー・ワンダー:音楽革新と社会的影響の軌跡

スティーヴィー・ワンダーは、生まれながらの障がいを乗り越え、シンガーソングライター/マルチインストゥルメンタリストとして歴史に残る業績を築き上げました。
13歳で「Fingertips」によってBillboard Hot 100初登場1位を記録し、最年少記録を打ち立てた後、1970年代には『Music of My Mind』『Talking Book』『Innervisions』『Fulfillingness’ First Finale』『Songs in the Key of Life』といった革新的アルバムを次々に発表。
シンセサイザーや電子楽器を駆使したサウンドと、自身がほぼ全楽器を演奏する“バーチャル・ワンマン・バンド”としての手法で、R&B/ソウルの概念を塗り替えました。
受賞歴はグラミー賞25冠、アカデミー賞受賞、各種殿堂入りなど多岐にわたり、音楽活動だけでなく、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア・デー制定運動や国連平和使節としての社会活動にも尽力。世代を超えて多くのアーティストに影響を与え続ける、20世紀後半を代表する巨星です。

幼少期と音楽の始まり

1950年5月13日、ミシガン州セイギナウで生まれたスティーブランド・ハーダウェイ・ジャドキンス(のちのスティーヴィー・ワンダー)は、早産の影響で幼少期に失明します。母とともにデトロイトに移った後、教会の聖歌隊で歌い、8歳までにピアノやハーモニカ、ドラムを独学で習得。11歳でミラクルズのロニー・ホワイトに発掘され、モータウンのタムラ・レーベルと契約を結びます。

ブレイクスルー:「Fingertips」とモータウンでの成功

1963年、13歳のワンダーはライヴ録音シングル「Fingertips (Part 2)」でBillboard Hot 100の首位を獲得。ハーモニカやボンゴを含む多重演奏により、その天才ぶりを世に知らしめ、モータウンの看板アーティストとして躍り出ました。

クリエイティブ・コントロールと黄金期

『Music of My Mind』と『Talking Book』

1972年3月3日発売の『Music of My Mind』は、ワンダーにフル・アーティスティック・コントロールを認めた新契約後の第1作目。ほぼ全楽器を自ら演奏し、カスタム・シンセサイザーTONTOを導入しました。同年10月27日発表の『Talking Book』には代表曲「Superstition」を収録し、その独創的なクラヴィネット・リフで一躍話題に。

『Innervisions』、『Fulfillingness’ First Finale』、『Songs in the Key of Life』

1973年発表の『Innervisions』は「Living for the City」など社会的メッセージを含む内容でグラミー賞アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞。続く1974年の『Fulfillingness’ First Finale』、1976年9月28日リリースの二枚組大作『Songs in the Key of Life』も連続して同賞に輝き、3作連続アルバム賞受賞という快挙を成し遂げました。

革新と音楽スタイル

黄金期のワンダーは、ソウルやファンク、ジャズ、ポップを融合し、ARPやMoogといったシンセサイザーで新たなサウンドを切り拓いたほか、自身がほぼ全楽器をこなす“一人多重録音”でスタジオ制作の常識を覆しました。この手法は後進アーティストに大きな影響を与えています。

主要作品と受賞歴

ワンダーは世界で1億枚以上のレコードを売り上げ、男性ソロアーティストとして最多のグラミー賞25冠を誇ります。1984年公開の映画『ウーマン・イン・レッド』主題歌「I Just Called to Say I Love You」でアカデミー賞最優秀オリジナル歌曲賞も受賞。ロックの殿堂、ソングライターズ・ホール・オブ・フェーム、R&Bの殿堂入りを果たし、2014年には大統領自由勲章、2009年にはライブラリー・オブ・コングレスのガーシュウィン賞を受章しています。

社会活動と社会的影響

マーティン・ルーサー・キング・Jr.デー制定運動

1980年に発表した楽曲「Happy Birthday」をキャンペーン・ソングに、キング牧師の誕生日を国民の祝日とする運動を展開。1983年11月2日の署名、1986年1月20日の初めての公式祝日制定に大きく寄与しました。

国連平和使節

2009年12月1日、バン・キムン国連事務総長から国連平和使節に任命され、障がい者の権利擁護や平和推進を訴え続けています。

レガシーと影響

ワンダーの革新的サウンドとメッセージはプリンス、ビヨンセ、ジョン・レジェンド、アリシア・キーズらに影響を与え、技術と社会活動を音楽に融合させる先駆けとなりました。彼のアルバムは「史上最高のアルバム」リストに定番で名を連ね、楽曲は今なお多くの世代に愛されています。

幼い頃の困難を乗り越え、モータウンでの早熟な成功を足がかりに、1970年代にアルバムというフォーマットを芸術の域にまで高めたスティーヴィー・ワンダー。多彩な楽器演奏と電子機器の活用による音楽的革新、数々の受賞、そして社会運動家としての姿勢は、20世紀後半の大衆音楽と文化に揺るぎない足跡を残しています。

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