レコードのカビ―原因から徹底除去・再発防止まで完全ガイド
レコードに発生するカビの特徴と発生メカニズム、カビがもたらす音質・機材へのリスク、具体的な除去手順、再発防止のための保管環境づくり、そして日常的なメンテナンスのポイントまでを詳しく解説します。目に見えない小さな胞子から大切な音楽資産を守るために、各ステップを丁寧にまとめました。
1. カビの基礎知識
レコードにつくカビは、主にアスペルギルス属やペニシリウム属といった糸状菌(カビ)で、空気中を漂う胞子が盤面に付着し、湿度と温度が適切な条件を満たすと発育します。塩化ビニール自体は栄養源になりにくいものの、盤面に残った手の脂分やホコリ、ヤニなどがカビの餌となり、酸素と水分が揃うと一気にコロニーを形成します。
2. カビ発生のメカニズム
2.1 必要条件
- 高湿度:相対湿度60%以上
- 適温:20〜30℃
これらの環境が長時間続くと、胞子が定着してから24〜48時間で目に見えるレベルに成長します。
2.2 汚染源
- 手指の脂分・皮脂:再生時の触れすぎ
- タバコのヤニ:室内での喫煙
- 微細ホコリ:静電気で吸着
静電気防止インナースリーブを使っても、完全には防げないため、再生後すぐの乾式クリーニングが肝心です。
3. カビがもたらすリスク
3.1 音質への影響
カビの菌糸が溝に入り込むと、音がこもって聴こえたり、プチプチとしたノイズ、さらには針飛びを引き起こします。音のディテールが失われるだけでなく、曲のダイナミクスや余韻まで損なわれる恐れがあります。
3.2 機材へのダメージ
カビの胞子や菌糸はスタイラスチップに付着して追従性能を低下させ、最悪の場合、チップ先端を摩耗・破損させます。カートリッジ内部への侵入が続くと、長期的な音質低下と交換頻度の増加を招きかねません。
3.3 再生機器内部の汚染
繰り返し再生すると、プレーヤーのプラッターやトーンアーム周辺に胞子が飛散し、内部機構に送り込まれるリスクがあります。定期的な内部清掃を怠ると、ベルトドライブ機構やベアリング部にまでカビが定着する恐怖も。
4. カビ除去のステップバイステップ
4.1 乾式クリーニング(毎回の再生後)
- カーボンファイバーブラシを盤面に垂直に当て、溝に沿って5回程度ゆっくりと往復。
- ベルベット製クリーナーパッドで盤面全体を軽く撫で、付着したホコリや軽度の胞子をキャッチ。
- 使用後はブラシを付属のクリーニングステーションで埃を落とし、常に清潔に保つ。
この作業だけでも、カビの初期段階ならばかなり除去できます。
4.2 軽度の湿式クリーニング(月1回程度)
- イソプロピルアルコール(IPA)50%+蒸留水50%の溶液を用意。
- 不織布クロスに液を含ませ、溝方向に沿ってやさしく拭き取り。
- 乾いたマイクロファイバークロスでアルコール分をすみやかに拭き取り、自然乾燥。
アルコールが残留すると盤に悪影響を及ぼすため、最後の乾拭きは念入りに。
4.3 徹底洗浄(重度カビ・数ヶ月に1度)
- 超音波洗浄機(40kHz以上推奨)に市販のレコード洗浄カートリッジをセット。
- 専用洗浄液を規定量注入し、5〜7分間超音波洗浄。
- 洗浄後、流水で残留液を丁寧に洗い落とし、乾燥ラックで自然乾燥。
超音波洗浄は内部に深く入り込んだ胞子や菌糸まで除去できる最終手段ですが、機器の取扱説明書に従い、頻度は年2回以内に抑えること。
5. 再発防止と保管環境の最適化
5.1 室内環境のコントロール
- 温度:20℃以下をキープ
- 湿度:50%以下を維持
除湿機や空気清浄機の併用、さらに防湿ケース内にシリカゲルや重曹パックを配置すると効果的です。
5.2 ストレージの工夫
- レコードは縦置きし、重ね置き禁止。
- 盤面同士の直接接触を避けるため、インナーとアウターのスリーブは静電気防止仕様を選ぶ。
- カビ発生歴のあるタイトルは、別のボックスに隔離保管し、二次汚染を防止。
6. 日常メンテナンスのポイント
- 再生前後のチェック:盤面を目視し、カビの「白っぽい斑点」や「薄膜」を発見したら即クリーニング。
- 定期スケジュール:乾式は「毎再生後」、湿式は「月1回」、超音波洗浄は「半年に1回」を目安に。
- 機材メンテ:ターンテーブルカバーを閉じたままにせず、使用後は埃を拭き取り、カバーをかけて直射日光も避ける。
7. まとめ
レコードのカビは、音質の劣化だけでなく機材の寿命にも大きく関わる深刻な問題です。日々の乾式クリーニングを基本とし、定期的な湿式・超音波洗浄を組み合わせることで、カビの発生と繁殖を抑制できます。また、保管環境を最適化し、温度・湿度を管理することが何より大切。正しいメンテナンスを継続し、大切なアナログ音源を末永く楽しみましょう。
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