桃井かおりが刻んだ歌声の詩学―デビューシングルからデジタル再発まで辿るレコード作品

女優・映画監督として不動の地位を築く桃井かおりが1973年のシングル「六本木心中」で歌手デビューを飾って以来、シングルからオリジナル・アルバム、ライブ盤、カバー盤、サウンドトラック、ベスト盤に至るまで、多彩なレコード作品を次々と発表。幻想的な詩世界を描くシングル曲や組曲形式を導入したアルバムの構成美、ステージの臨場感を伝えるライブ録音、ジャズスタンダードへの日本語カバーといった表現実験、そして映画作品とリンクしたサウンドトラック作品まで、歌手桃井かおりの歩みを豊富なディテールとコレクター視点で深く掘り下げ、市場での希少盤としての価値や近年のデジタル再発動向にも言及するガイドです。
1. 歌手活動の歩み
1.1 シングルの展開
1973年にリリースされたデビューシングル「六本木心中/やさしい女」は、中村泰士の作曲を得て俳優業と並行した歌手活動の第一歩となりました。1977年からは「ついてはいけません」「蜃気楼のように」「嫌なこと言われたの」など、フィリップス・レコードから多数のシングルを立て続けに発表し、独自の詩世界とアレンジで注目を集めました。1978年には「ブスの唄(ブルース)」「少女時代」、1979年の「尻軽女(アバズレ)ブルース」「忘れたいことは」、1980年代にかけて「哀しみのラストタンゴ」「微熱」「バイバイ子守唄(ララバイ)」などヒット曲を重ね、歌手としての地位を確立しています。
1.2 オリジナル・アルバム
ファーストアルバム『ONE』(1977年)は、10万枚以上を売り上げたヒット作で、A面にはシングル曲、B面には組曲形式の楽曲を収録。続く『TWO』(1978年)、『WATASHI』(1979年)は彼女自身の作詞曲も含む意欲作で、当時のポップス/ロックサウンドを取り入れながら独自性を打ち出しました。以降も『しーんと淋しいネ…』(1979年)、『FOUR』(1980年)、『FIVE』(1981年)、『おもしろ遊戯』(1982年)、『SHOW?』(1982年)、『愛のエッセイ』(1984年)とコンスタントに新作をリリースし、幅広い表現を追求しています。
1.3 ライブ盤・カバー盤・サウンドトラック・ベスト盤
- ライブ盤:「KAORI MOMOI LIVE –恋・女ひとり–」(1978年)、 「KAORI MOMOI CONCERT」(1979年)では、ステージ上での即興的なアレンジや臨場感あふれる歌唱を楽しめます。
- カバー盤:『KAORI SINGS THE LADY』(1986年)は、ジャズ・スタンダードを日本語詞でカバーしたユニークな企画盤です。
- サウンドトラック盤:出演映画のタイアップ曲を収録した『もう頬づえはつかない』(1979年)、『夕暮まで』(1980年)、『ダウンタウン物語』(1981年)など、映像作品と歌声が交錯する作品群になっています。
- ベスト盤:初期シングルを網羅した『ベスト・コレクション』(1980年)、『GOLDEN☆BEST 桃井かおり Singles & More』(2003年)、『ベスト・スタンダード〜夢で逢えたら』(2003年)など、シングルAB面を含む充実のセレクションが魅力です。
2. 音楽的特色と聴きどころ
桃井かおりのシングル楽曲は、日常の機微や社会的テーマを切り取る詩世界が特徴です。たとえば「蜃気楼のように」では幻想的なメロディと詩情、「ブスの唄(ブルース)」では痛烈なユーモアをまじえたブルース調のアレンジを聴かせます。アルバムでは組曲的構成や複数の作家とのコラボレーションが光り、『ONE』のB面に収められた「かげろうの夜の為に」は、パートごとに変化するドラマ性に富んでいます。ライブ盤ではかすれ声や即興的アレンジがスタジオ録音とはひと味違う臨場感を生み出し、コアなファンにはたまらない聴きどころです。カバー盤は往年の名曲に新たな日本語詞を付与し、異文化間の橋渡しを試みた点が高く評価されています。
3. デジタル再発と近年の動向
2016年にはMoraでハイレゾ配信が開始され、『Show?』『おもしろ遊戯』『KAORI SINGS THE LADY』『愛のエッセイ』の4タイトルが配信スタート。デジタル世代にも訴求しつつ、2004年にUniversal Musicからリリースされた『ゴールデン☆ベスト 桃井かおり Singles & More』はCD化と同時にストリーミング配信も行われ、新旧リスナー層の拡大に貢献しています。
4. レコードのコレクターズアイテムとしての価値
状態や希少性によって価格帯に幅が生じていて、プロモ盤や帯付き、初回プレスのオリジナルジャケット良好品はさらに高額傾向にあり、コレクター市場で根強い人気を誇ります。
参考文献
https://ja.wikipedia.org/wiki/桃井かおり
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