多才なるバリトン歌手 平野忠彦の軌跡:歌声から演技、教育と指揮へ

本稿では、日本を代表するバリトン歌手であり、教育者、俳優、合唱指揮者としても活躍した平野忠彦氏の多彩なキャリアを網羅的に解説します。
平野氏は1938年3月5日に山梨県甲府市で生まれ、2014年6月13日に76歳で逝去しました。
東京藝術大学で声楽を学び、『フィガロの結婚』のタイトルロールでデビューした後、国内外で135回以上のオペラ主演を務め、ウィンナーワールドオペラ大賞や山梨日日新聞社「野口賞」、ザルツブルク音楽祭特別賞などを受賞しました。
さらに、ミュージカルやコンサート出演、アニメ『ジャングル大帝』主題歌歌唱、NHK大河ドラマ『義経』出演、大学教授としての後進育成、混声合唱団コーロ・オルフィーネの指揮など、多岐にわたる活動を通じて日本の音楽文化に大きな足跡を残しました。

生い立ちと学び

幼少期を甲府で過ごした平野氏は、東京藝術大学声楽科へ進学後、同大学専攻科を修了し、名伯楽・畑中良輔氏に師事しました。在学中に『フィガロの結婚』のタイトルロールでデビューを果たし、その後のキャリアを大きく切り開くきっかけとなりました。

オペラ歌手としての飛躍

二期会での活躍

1960年代初頭、二期会に所属した平野氏は、オペラ作品だけで135回以上もの主演を務め、日本を代表するバリトン歌手として不動の地位を築きました。特にリリカルな表現力と豊かな声量が評価され、当時のオペラ界に新たな風を吹き込みました。

欧州留学と受賞歴

1973年には文化庁派遣研修員としてミラノ、ウィーンに留学し、欧州の歌劇場で研鑽を重ねました。帰国後の1976年にはウィンナーワールド・オペラ大賞(後のジロー・オペラ賞)大賞と山梨日日新聞社「野口賞」を受賞し、その後もザルツブルク音楽祭特別賞を受けるなど、国際舞台でも高い評価を得ています。

ミュージカル・コンサート活動

オペラのみならず、日米合同ミュージカル『12ヶ月のニーナ』や『ジーザスクライスト・スーパースター』、『ラ・マンチャの男』などの舞台にも出演し、幅広いレパートリーを披露しました。また、テレビ朝日『題名のない音楽会』へのゲスト出演やリサイタル、朗読会などでもその表現力を活かし、多彩な音楽活動を展開しました。特に、昭和40年放送版アニメ『ジャングル大帝』の主題歌を40年ぶりに熱唱したエピソードは、多くのファンの記憶に刻まれています。

俳優としての活動

NHK大河ドラマ『義経』では平盛国役を演じ、その重厚な演技が視聴者から好評を博しました。映画でも活動し、2011年公開『百合子、ダスヴィダーニヤ』では中條精一郎役を務め、2001年公開『千年の恋 ひかる源氏物語』にも出演しています。これらの映像作品を通じて、声楽家としてのみならず俳優としての確かな存在感を示しました。

教育者・合唱指揮者としての歩み

平野氏は東京藝術大学教授、国立音楽大学教授を歴任し、多くの優秀なバリトン歌手を育成しました。晩年には東京藝術大学名誉教授や聖徳大学客員教授も務め、二期会理事、文化庁文化審議会文化政策部会有識者委員、文化庁在外研修員の会理事長など要職を歴任しました。さらに、混声合唱団コーロ・オルフィーネの指揮者としても活動し、合唱界の発展に寄与しました。

レガシーと影響

平野忠彦氏の遺した録音や舞台映像、門下生の活躍は今なお多くの声楽家や音楽ファンに影響を与え続けています。厳格ながら温かな人柄と、常に研鑽を怠らない姿勢は、後進への大きな手本となっています。


参考文献

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E9%87%8E%E5%BF%A0%E5%BD%A6

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