バリトンの深淵が響く歌声の旅 ~平野忠彦人気曲徹底解剖とその表現世界~
日本を代表するバリトン歌手・平野忠彦(1938–2014)の多彩なレパートリーの中から、アニメソングやディズニー、そして日本の叙情歌・童謡を中心に、代表的な人気曲を詳しく解説します。彼が残した珠玉の歌唱は、オペラで鍛えた確かな技術と深い表現力を土台に、アニメ『ジャングル大帝』主題歌から『ベラ・ノッテ』『荒城の月』『浜辺の歌』『出船』『砂山』『平城山』といった歌曲まで、多くの世代に愛され続けています。
略歴とキャリア
平野忠彦は1938年3月5日、山梨県甲府市に生まれ、東京藝術大学声楽科を卒業後、同大学専攻科を修了しました。二期会所属のバリトン歌手として『フィガロの結婚』タイトルロールなど数多くのオペラに出演し、135回を超える舞台経験を誇りました。東京藝術大学や国立音楽大学の教授として後進を指導し、合唱指揮者や俳優としても活動の幅を広げ、文化庁在外研修員など要職を歴任しました。2014年6月13日、急性心筋梗塞のため東京都豊島区の自宅で76歳で逝去しました。
人気楽曲徹底解説
「ジャングル大帝」のテーマ
1965年放送のテレビアニメ『ジャングル大帝』オープニングテーマは、平野が変名「三浦弘」として歌唱。手塚治虫原作の大河ドラマを彩る力強いバリトンによって、映像の壮大さを一層ドラマチックに演出しました。
「Bella Notte」(ベラ・ノッテ)
ディズニー映画『わんわん物語』の名曲「Bella Notte」は、Peggy Lee&Sonny Burke作曲、日本語詞は海野洋司。平野はナチュラル・ノーツ名義で録音し、ロマンティックな夜の情景をしっとりと歌い上げています。
「荒城の月」
土井晩翠作詞、瀧廉太郎作曲による1901年発表の日本歌曲の金字塔。平野はオムニバスアルバムで哀愁を帯びたメロディを味わい深いバリトンで再現し、歌詞に込められた栄枯盛衰の情景を深く響かせています。
「浜辺の歌」
林古渓作詞、成田為三作曲の叙情歌(金1916年)。2007年「日本の歌百選」に選定されるほど愛唱されており、平野は透明感のある声で波音や月影の情景を豊かに描き出しました。
「出船」
勝田香月作詞、杉山長谷夫作曲の1928年発表の歌謡曲。港町の別れの哀愁を歌った名曲で、平野はピアノ伴奏とともに郷愁を誘う旋律を情感豊かに表現しています。
「砂山」
北原白秋作詞、中山晋平作曲による童謡。佐渡の風景を背景にした素朴な旋律を、平野は懐かしさと力強さを兼ね備えた歌声で丁寧に紡ぎます。
「平城山」
北見志保子の短歌を原詩に、平井康三郎が1935年に曲をつけた日本歌曲。万葉の古語を交えた歌詞を、平野は端正なバリトンで古代奈良のロマンを美しく響かせています。
これらの楽曲はいずれも、平野忠彦の歌唱力と表現力が遺憾なく発揮された代表作です。アニメソングから日本の叙情歌まで、多彩なレパートリーを通じて彼が築いた音楽的遺産は、今なお多くのリスナーを魅了し続けています。
参考文献
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っておりますので是非一度ご覧ください。
https://everplay.base.shop/
また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery