魂を揺さぶるグランジの真髄 ― ニルヴァーナ6選

Nirvanaは1987年にワシントン州アバディーンで結成され、カート・コバーン(ボーカル/ギター)、クリス・ノヴォセリック(ベース)、デイヴ・グロール(ドラム)のトリオ編成でグランジを世界的に普及させたバンドである。彼らの代表曲は、静と激しさを併せ持つダイナミックな構成と、社会的疎外や自己矛盾を描く歌詞に特徴づけられ、多くのアーティストに影響を与え続けている。

「Smells Like Teen Spirit」

背景とリリース

1991年9月10日にリードシングルとしてリリースされ、コバーン自身が「究極のポップソングを書こうと試みた」と語った通り、全世界で1,300万枚以上のセールスを記録し、『Nevermind』を大ヒットへと導いた。
タイトルはコバーンの友人であるビキニ・キルのキャスリン・ハンナが「Kurt smells like Teen Spirit(コバーン、あなたはティーン・スピリットの匂いがする)」と書いた落書きに由来し、当初コバーンはそれが「反逆のスローガン」だと誤解していた。

作曲と録音

楽曲はFマイナーで書かれ、F⁵–B♭⁵–A♭⁵–D♭⁵というパワーコード進行を中心に構成。プロデューサーのブッチ・ヴィグは、ギターをダブルトラックで録音し、コーラス前後の対比を強調した。

ミュージックビデオと反響

高校の応援集会を模したミュージックビデオはMTVで大反響を呼び、ビデオ・ミュージック・アワードで2部門を受賞。MTVヨーロッパでは最も再生された映像にも選ばれた。

遺産

「世代のアンセム」と称され、ロックの殿堂「The Songs That Shaped Rock and Roll」にも選出。RIAAの「Songs of the Century」では80位、Rolling Stone誌の「500 Greatest Songs of All Time」では5位にランクインした。

「Come as You Are」

リリースとチャート

『Nevermind』からのセカンドシングルとして1992年3月にリリースされ、ビルボードHot 100で最高32位、UKシングルチャートで9位を記録。

作曲の背景

制作時、Killing Jokeの「Eighties」との類似を懸念しつつも、サビのメロディとリフの商業的ポテンシャルを重視し、マネジメント陣の説得でリリースが決定された。

評価

Rolling Stone誌の「500 Greatest Songs of All Time」では445位にランクインし、そのメロディアスなリフは今なお高く評価されている。

「Lithium」

リリースとチャート

1992年7月13日にサードシングルとしてリリースされ、ビルボードHot 100で64位、UKシングルチャートで11位を記録。フィンランドでは1位、アイルランドとポルトガルでもトップ5に達した。

録音とクリックトラック

当初テンポ維持に苦労したため、デイヴ・グロールはプロデューサーの助言でクリックトラックを使用し、『Nevermind』収録曲で唯一クリックトラック録音された曲となった。

歌詞のテーマ

コバーンは「宗教を最後の手段として生き延びる男」を描いたフィクショナルな物語と説明し、ニーチェの「大衆の阿片」を更新した作品とも評される。

ミュージックビデオ

監督ケヴィン・カーケイクによる映像は、1991年ハロウィンのシアトル公演と、未公開映画『1991: The Year Punk Broke』の映像を組み合わせたもの。

「About a Girl」

リリースと初期バージョン

1989年6月にデビューアルバム『Bleach』収録曲として発表され、コバーンのガールフレンド、トレイシー・マランダーへの想いを綴ったポップな佳作として評価された。

MTV Unplugged版

1994年10月にMTV Unplugged版がシングルリリースされ、BillboardのModern Rock Tracksで1位、Hot 100 Airplayで22位を記録。冒頭のコバーンのコメントが、アコースティック演奏の魅力を際立たせた。

「Heart‑Shaped Box」

作曲と初期制作

1992年初頭、ロサンゼルスのアパートで数分で作り上げたリフをもとに制作。コバーンは末期がんの子どもたちへの共感を込めた歌詞だと語っている。

録音とリミックス

1993年2月にスティーヴ・アルビニと共に録音後、Scott Littによるリミックスを施し、ボーカルハーモニーと追加ギターを収録したバージョンに仕上げられた。

リリースとチャート

1993年8月30日に先行シングルとしてリリース。米国でModern Rock Tracks1位、UKで5位を記録し、欧州各国でもトップ10入りした。

ミュージックビデオ

アントン・コービーン監督による幻想的な映像はMTVで高評価を受け、1994年VMAで「Best Alternative Video」を含む2部門を受賞した。

「All Apologies」

リリースとチャート

1993年12月6日に「Rape Me」とのダブルAサイドでリリース。Alternative Songsチャートで1位、Mainstream Rockで4位、Radio Songsで45位を記録した。

グラミー賞ノミネート

1995年のグラミー賞で「Best Rock Performance by a Duo or Group with Vocal」と「Best Rock Song」にノミネートされ、バンドの音楽的評価をさらに高めた。


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