音速を超えた羽ばたき――Mr. Misterの軌跡と輝き
Mr. Misterは1982年にアリゾナ州フェニックスで結成され、ロサンゼルスを拠点に活動したアメリカのポップロックバンドです。メンバーはリチャード・ペイジ(ボーカル・ベース)、スティーヴ・ジョージ(キーボード・コーラス)、パット・マステロット(ドラム)、スティーヴ・ファリス(ギター)の4人で、全員がセッションミュージシャンとして豊富な経験を持っていました。デビュー作『I Wear the Face』(1984年)で下地を固めた後、1985年の2ndアルバム『Welcome to the Real World』から〈Broken Wings〉と〈Kyrie〉が連続して全米ビルボードHot 100で首位を獲得し、一躍トップアーティストに躍り出ました。続く1987年の3rdアルバム『Go On...』はチャート最高55位に留まり商業的には大きな飛躍を見せられなかったものの、コアなファン層を獲得しました。未発表作として1990年に完成した『Pull』はリリースが見送られましたが、2010年にリマスター版がRichard Pageの独立レーベルから正式に発売され、伝説的存在となりました。2023年5月16日にはRichard Pageの70歳の誕生日を祝う一夜限りの再集結が実現し、〈Broken Wings〉を34年ぶりに共演しました。バンドの音楽は今日でも多くのアーティストに影響を与え続け、2011年にはコンピレーション『Playlist: The Very Best of Mr. Mister』がリリースされ、再評価の機運を高めています。
結成と初期の歩み
1978年から1981年までRichard PageとSteve GeorgeがPagesというバンドを結成し、ポップ・フュージョン路線で3枚のアルバムを発表しましたが大きな商業的成功は得られませんでした。1982年、PageとGeorgeはさらなる飛躍を目指し、セッションドラマーのPat MastelottoとギタリストのSteve Farrisを加え、Mr. Misterを結成しました。Richard Pageはクインシー・ジョーンズの下でセッションワークを重ね、Michael JacksonやDonna Summerなど一流アーティストのレコーディングにも参加した経歴を持ちます。1984年リリースのデビューアルバム『I Wear the Face』では、バンドの演奏力とソングライティング能力が高く評価されました。
ブレイクスルーと代表作
1985年リリースの2ndアルバム『Welcome to the Real World』は全米チャート3位を記録し、43分18秒に凝縮されたポップ/ロックサウンドで聴衆を魅了しました。シングル〈Broken Wings〉は2週連続でBillboard Hot 100の頂点に立ち、その歌詞はハリール・ギブラーンの同名書籍から着想を得ています。続く〈Kyrie〉も1986年3月付チャートで2週連続No. 1を獲得し、ポップロック史に残る大ヒットとなりました。同アルバムからの3枚目のシングル〈Is It Love〉も全米8位を記録し、Mr. Misterの代表曲として定着しました。MTVのSpring Breakショーに出演し、2度のグラミー賞ノミネートを果たすなど、1980年代中盤の音楽シーンを象徴する存在となりました。
サードアルバム『Go On...』と停滞期
1987年に発表された3rdアルバム『Go On...』は前作の華やかな成功とは一線を画すシリアスなトーンを打ち出しました。しかしアルバムはチャート最高55位にとどまり、RCAの売却混乱もあって商業的に大きく後退しました。収録曲の〈Healing Waters〉が最高40位圏内に入りましたが、バンドはこの時期に活動の方向性を模索することになります。
未発表作『Pull』の伝説と再評価
1988年、Steve Farrisが脱退し、残る3人は4thアルバム『Pull』を完成させましたが、RCAとの契約打ち切りにより1990年に正式リリースされることはありませんでした。同作は20年もの間“幻のアルバム”として語り継がれましたが、2001年に〈Waiting in My Dreams〉がベスト盤に収録され、2010年11月23日にリマスター版がLittle Dume RecordingsとSony Musicの協力で正式発売されました。
2023年の一夜限りの再集結
2023年5月16日、Richard Pageの70歳の誕生日を祝してオリジナルメンバー4人が〈Broken Wings〉を共演し、約34年ぶりにステージに立ちました。この一夜限りの再集結はファンに大きな驚きと歓喜をもたらし、SNSを中心に話題を呼びました。
影響とレガシー
Mr. Misterのメンバーはセッションワークを通じて数多くのヒット曲制作に携わり、その高い演奏技術は現在も音楽業界で高く評価されています。2011年にはLegacy Recordingsから『Playlist: The Very Best of Mr. Mister』がリリースされ、クラシックなポップロックの傑作として再評価が進んでいます。Trainの〈Hey, Soul Sister〉の歌詞中に「Ain’t that Mr. Mister on the radio, stereo?」と登場するなど、後続アーティストにもその名が刻まれています。
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