Beckが切り拓く音楽の冒険:『Loser』から『Blue Moon』まで

Beckは1993年にインディーズ・レーベルBong Load Custom Recordsからシングル「Loser」をリリースし、ローファイかつサンプルベースの実験的サウンドで一躍注目を集めました。1994年にはビルボードHot 100で10位を記録し、ノルウェーやオーストラリア、カナダ、ニュージーランドなど複数国でもトップ10入りを果たしました。以降もDust Brothersとのコラボレーションによる『Odelay』(1996年)の「Where It’s At」「Devils Haircut」、2005年の『Guero』からの「E‑Pro」「Girl」、2014年の『Morning Phase』からの「Blue Moon」など、多彩なヒットを生み出し続けています。本稿では代表的な8曲を取り上げ、その背景、音楽的特徴、チャート成績、受賞・評価などを詳しく解説します。

「Loser」(1993年)

リリースと背景
1993年3月8日、BeckはBong Load Custom Recordsから12インチ・シングルとして「Loser」を発売しました。Carl Stephensonとの共作・共同プロデュース曲で、インディーでの自主発売直後からモダンロック局でオンエアが拡大し、DGC Recordsとのメジャー契約につながりました。

チャート成績と評価
1994年4月にはBillboard Hot 100で10位を記録し、国際的にも高い人気を獲得。Village VoiceのPazz & Jop批評家投票1位、Rolling Stoneの「500 Greatest Songs of All Time」200位など、批評家からも歴史的評価を受ける楽曲となりました。

ミュージックビデオ
Steve Hanft監督によるビデオは総予算約1万4300ドルでカリフォルニアで撮影され、Billboard Music Video Awardsにノミネートされるなど高い評価を得ました。

「Where It’s At」(1996年)

制作とサウンド
1996年5月、BeckはDust Brothers(John King、Michael Simpson)と共に『Odelay』のリードシングルとして「Where It’s At」を発表。ヒップホップ由来のサンプルを多用し、遊び心あふれるリズムとキャッチーな歌詞が特徴です。

チャート成績と受賞
Billboard Hot 100で61位、Modern Rock Tracksで5位を記録。1997年の第39回グラミー賞でBest Male Rock Vocal Performanceを受賞し、Beck初のグラミー獲得となりました。

ミュージックビデオ
Steve Hanft監督の下、MTV2初放送作品として制作され、MTV Video Music AwardのBest Male Videoも獲得しています。

「Devils Haircut」(1996年)

リリースとサウンド
1996年12月、『Odelay』からのセカンドシングルとしてリリース。エレクトロニックなサンプル使いとギター・リフが融合し、BeckとDust Brothersによるプロデュースが光る一曲です。

チャート成績
Billboard Hot 100で94位、Modern Rock Tracksで23位、UKシングル・チャートで22位を記録しました。

ミュージックビデオ
Mark Romanek監督によるニューヨーク撮影のビデオは、MTV Video Music AwardsでBest EditingとBest Male Videoを受賞しました。

「Sexx Laws」(1999年)

リリースとコンセプト
1999年10月、アルバム『Midnite Vultures』のリードシングルとして発表。Hornセクションを大胆にフィーチャーし、男女のステレオタイプをユーモラスに解体する歌詞が特徴です。

チャート成績
US Modern Rock Tracksで21位、UKシングル・チャートで27位、オーストラリアで84位を記録しました。

ポップカルチャーでの使用例
Renault TwingoのCMやアニメ『Futurama』『Daria』での挿入歌としても使用され、幅広い層に親しまれています。

「E‑Pro」(2005年)

リリースとサンプリング
2005年3月14日、『Guero』のリードシングルとしてリリース。Beastie Boysの「So What'cha Want」からリズムトラックをサンプリングし、その実験性を象徴するトラックです。

チャート成績
Modern Rock Tracksで通算2度目の1位、Billboard Hot 100で65位を記録。

ミュージックビデオと逸話
Shynola制作のCGビデオはシュールなゾンビ演出で話題を呼び、撮影中にBeckが一時的な怪我を負うハプニングも発生しました。

「Girl」(2005年)

サウンドと構成
2005年7月、UKでシングルカット。冒頭のチップチューン風メロディからアコースティック・ギターへと展開する構成が印象的です。

チャート成績とビデオ
USオルタナティヴ・ソング・チャートで8位。Motion Theory監督による折りたたみ演出のユーモラスなミュージックビデオが話題となりました。

ライブでの定番化
発表以来300回以上ライブで演奏され、Beckのライブセットの定番ナンバーとなっています。

「Blue Moon」(2014年)

リリースと評価
2014年1月20日、『Morning Phase』からのリードシングルとして発表。米アダルト・オルタナティヴ・ソング・チャートで初の1位を獲得し、グラミー賞ではBest Rock SongとBest Rock Performanceにノミネートされました。

パフォーマンス
『Ellen』や『Saturday Night Live』で披露され、Rolling StoneやNMEなどメディアから豊かなメロディとキャッチーな構成を高く評価されました。

まとめ

「Loser」から始まるローファイ実験路線を経て、『Odelay』以降はサンプル/ジャンル横断サウンドを確立し、2000年代以降も常に進化を続けるBeck。ここで紹介した代表曲は、いずれも彼の多彩な音楽性と革新性を象徴しており、今後の新たな挑戦にも大いに期待が寄せられます。


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