デイヴィッド・ペイチの軌跡:Totoの中心作曲家が示す和声と編曲の極意
プロフィール:David Paichとは
David Paich(デイヴィッド・ペイチ)は、アメリカのキーボーディスト、作曲家、編曲家、プロデューサーで、ロック/ポップ界で長年にわたり存在感を放ってきた人物です。1950年代生まれ(1954年6月生まれと広く紹介されています)、ジャズ界で名高いアレンジャー/ピアニストのマーティ・ペイチを父に持ち、幼少期から音楽環境に親しんで育ちました。1977年に結成されたバンド「Toto(トト)」の中心メンバーとして、バンドのサウンドメイクと名曲群の多くを生み出した立役者です。
音楽的バックグラウンドとキャリアの軸
ペイチはクラシックやジャズ的な音楽素養と、ポップ/ロック、R&B、ファンクへの深い理解を併せ持っています。セッション・ミュージシャンとしてロサンゼルスの録音シーンで活躍し、ボズ・スキャッグスなどのアーティストとも共作・録音で関わりました。その後Totoの結成に参加し、バンドの楽曲制作・編曲の中核を担いました。
- 作曲:Totoの代表曲の多く(例:Hold the Line、Rosanna、Africa など)を作詞・作曲、または共作。
- 編曲・プロデュース:複雑なハーモニー処理やブラス/ストリングの扱い、レイヤーを重ねたサウンド設計で楽曲の完成度を高める。
- セッション業:1970〜80年代のLAシーンで求められた鍵盤奏者・アレンジャーとして多数の作品に参加。
作曲・編曲における特徴と魅力
デイヴィッド・ペイチの魅力は、ポップスとしての強い「フック」と、洗練された和声・アレンジ感覚を高い次元で両立させる点にあります。具体的な特徴は以下の通りです。
- メロディの明快さと耳に残るコーラス:キャッチーでありながら単純すぎず、聴き手にリフレインを刻むメロディ作り。
- 複雑だが自然な和声進行:ジャズやクラシック的な影響を感じさせる和音の動きが、ポップな土台を一段上に引き上げる。
- リズム感の巧みさ:ロック、ファンク、R&Bのリズム要素を取り入れ、グルーヴを生み出す作り込み。
- テクスチャーの重ね方:ピアノ/ローズ/オルガン/シンセを効果的に組み合わせ、ストリングやブラスの配置で広がりを出す。
- スタジオワークの職人的視点:サウンドの微調整や細かなハーモニー・コーラスワークにより、楽曲の完成度を高める。
代表曲・名盤(解説付き)
- Hold the Line(Toto、1978)
Totoのデビュー期を象徴するロック・チューン。力強いピアノのイントロとロッキンなリズム、覚えやすいコーラスでバンドを一気に注目させました。ペイチのソングライティング能力が早くも示された曲です。
- Rosanna(Toto、1982)
スウィートなメロディと複雑なシャッフル・グルーヴが同居する名曲。ドラマーやリズム隊と呼吸を合わせた緻密なアレンジが光り、Totoの音楽的深さを世に示しました。
- Africa(Toto、1982)
独特のコーラスラインと多層的なシンセ/パーカッションによるテクスチャーが特徴の一曲。ポップソングとしての親和性と情緒的な広がりを兼ね備え、多くの世代に愛される曲となりました。
- Lowdown(Boz Scaggs)
ボズ・スキャッグスの代表曲の一つで、デイヴィッド・ペイチは共作者・キーボード奏者として重要な役割を担いました。都会的なファンク/ソウル感と洗練されたアレンジが特徴です。
- Toto IV(アルバム、1982)
「Rosanna」「Africa」などヒット曲を多数含むアルバムで、Totoの音楽的到達点とされる作品。精緻な演奏と高品質なプロダクションが結実した名盤です。
スタジオマン&バンドリーダーとしての立ち位置
ペイチは単に良いメロディを書く人、良いキーボードを弾く人というだけでなく、楽曲を成り立たせるための最適なサウンド設計ができる人物です。セッションワークでは的確に楽曲に色をつけ、Totoではメンバー同士の強みを引き出す役割を果たしました。緻密さとポップ感覚のバランスを取れることが彼の大きな強みです。
ライブでの魅力と人柄
ステージ上でのペイチは、堅実かつ落ち着いた存在感を示します。ボーカルを取る場面では温かみのある声で楽曲を支え、キーボードプレイでは細かなアレンジを忠実に再現します。長年のキャリアで培った職人的な貫禄と、バンドの屋台骨としての信頼感がファンに支持される理由です。
後進への影響とレガシー
デイヴィッド・ペイチの楽曲は、ポピュラー音楽における「良いポップソングの作り方」を体現しています。和声、構成、リズム、アレンジのすべてが高い水準でまとまっているため、多くのソングライターやキーボーディストに影響を与えています。また、Totoのメンバーたちが示したセッションマン的アプローチは、そのまま現代のスタジオ文化やプロデューサー観にもつながっています。
なぜDavid Paichに惹かれるのか(魅力の総括)
- ポップ性と音楽的深みの両立:聴きやすさと聴き応えを同時に提供する作曲力。
- 細部に宿る職人技:微細なアレンジやハーモニー処理で曲を“格上げ”する力。
- 幅広いジャンル適応力:ロック、R&B、ジャズ的素養を自然に取り込み、多彩な表情を生む。
- 安定感ある存在感:バンドの中核として、作品と演奏を支える信頼感。
聴きどころ・楽しみ方の提案
- まずは代表曲を通してメロディとアレンジのバランスを味わう(Hold the Line → Rosanna → Africa の流れなど)。
- スタジオ録音での細かな鍵盤ワークやコーラスワークに耳を向け、どの楽器がどの役割を担っているかを確認する。
- ボズ・スキャッグスなど、ペイチがセッション参加した他アーティストの作品も聴いて、彼の多面的な音楽性を比較する。
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参考文献
- David Paich — Wikipedia
- Toto Official Site
- Lowdown (Boz Scaggs) — Wikipedia(共作者クレジット等)
- David Paich — AllMusic


