Bernard Purdie(パーディー)のグルーヴ徹底解説—Purdie Shuffleとセッションドラマーの影響力
Bernard Purdie — プロフィール概要
Bernard "Pretty" Purdie(バーナード・パーディー、1939年6月11日生まれ)は、アメリカを代表するセッションドラマー/グルーヴの名手です。ニュージャージー・ニューヨークのソウル/R&B/ジャズ/ポップの現場で長年にわたり活躍し、「Purdie Shuffle(パーディー・シャッフル)」をはじめとする独特のフィールと精密なタイム感で「最も録音されているドラマー」の一人として知られています。
キャリアの歩み(要点)
- 出発からセッションワークへ:地方での演奏を経てニューヨークを拠点に活動。レコーディングやツアーで多数のアーティストをサポートし、セッション職人としての地位を確立しました。
- 多彩なコラボレーション:ソウル、R&B、ジャズ、ポップなどジャンルを横断して参加。歌手やバンド、ジャズのリーダー作など幅広い作品でクレジットされ、その数は非常に多くあります。
- リーダー作:自身名義のリーダーアルバムも発表し、プレイの個性やコンセプトを前面に出した録音も残しています(例:代表的なリーダー作は後述)。
- ニックネーム:「Pretty(プリティー)」の愛称で親しまれ、その呼び名はプレイの“粋”や“格好良さ”を表しています。
演奏スタイルと魅力の深掘り
パーディーの魅力は単に正確に叩くことだけではなく、独特の「ポケット(grooveを生み出す位置)」と人間らしい揺らぎ、そして繊細なゴーストノート(小さな弱いスナア・タッチ)でリズムを装飾する点にあります。以下にその核となる要素を分解して解説します。
- Purdie Shuffle(パーディー・シャッフル):
もっとも有名な特徴の一つ。三連符的なスウィング感を持つハーフタイム系シャッフルで、ハイハットやライドでの三連の刻みと、スネアの「ゴーストノート+バックビート」の組合せで独特のうねりを生みます。耳で聴くと「ハイハットが三連で動き、スネアの微小タッチが隙間を埋め、アクセントでバックビートが効く」という印象です。細かいゴーストノートが全体に“つなぎ”のテクスチャを与えます。
- ゴーストノートの魔術:
パーディーはスネアの極小のタップ(ゴースト)を多用し、強いバックビートと対比させることでビートに立体感と推進力を与えます。これにより「同じリズムでも聴こえ方が深くなる」点が特徴です。
- “Pocket”とタイム感:
彼のタイムは非常に安定していながら、わずかに後ろに置く(後ノリ)感覚やフロントに出す感覚を使い分け、音楽全体のグルーヴをコントロールします。これが他の楽器と合わせたときの心地よい“押し引き”を生みます。
- ダイナミクスと質感の多層化:
強弱の付け方が巧みで、ゴーストノートやブラシ/スティックの使い分け、シンバルでのアクセントで曲のセクションごとに色を変えられます。単調になりがちな繰り返しフレーズでも聞かせどころを作るのが上手です。
- ジャンルを超えた適応力:
ジャズの洗練、ソウル/R&Bのグルーヴ、ポップ曲での明快さなど、場面に応じて「最適なフィール」を瞬時に判断できる能力があります。これがセッションドラマーとして重宝される理由の一つです。
聴きどころと聞き分けのポイント(実践的アドバイス)
- ハイハット/ライドの刻み方に注目:三連のうねり、またはほんの少しの遅れ(後ノリ)があるかを聴き比べる。
- スネアの裏に隠れたゴーストノート:強打と弱打のコントラストで“縦の深さ”が出る部分を探す。
- ベースとの相互作用:バスドラムとスネアの配置でベースと呼吸を合わせているかを意識する(ポケットを作る役割)。
- ソロやフィルの音色:短いフィルやスネアの味付けでプレイヤーの志向(歌心/パーカッシブ志向)が見える。
代表的な参加作品・名盤(聴いておきたいもの)
パーディーは非常に多くの録音に参加しているため、まずは自身のリーダー作と、彼の特徴がよく出ているセッション参加作を中心に聴くとよいでしょう。
- リーダー作
- 「Purdie Good!」 — リーダーとしての個性とバンド感を堪能できる作品。彼のグルーヴ感とアレンジの趣向がわかりやすく出ています。
- セッション参加(代表的なアーティスト)
- Aretha Franklin(アリーサ・フランクリン)やKing Curtisなど、ソウル/R&Bの巨匠たちの作品での参加が多く、曲を支える「ポケット」を体感できます。
- ジャズ/フュージョン系でも数多くの録音があり、Herbie Mannや他のジャズ・リーダー作でのプレイも参考になります。
- Steely Danなどのロック/AOR系作品でも彼のシャッフルやポケットが話題になることがあり、同曲のドラマー/クレジット事情は作品ごとに異なるため、クレジット確認をしながら聴くと面白いです。
なぜ今も支持されるのか — 音楽的意義
- 単なるテクニックの見せ物ではなく「曲の引き立て役」としての振る舞いが徹底している点。
- ジャンルを超えて通用する普遍的なリズム感と、作品ごとに最適化される適応力。
- 聴き手にとっての「ノリ」の基準を作り、後続のドラマーにも大きな影響を与えた点。
聴き手・ドラマーへのおすすめアプローチ
- まずはリーダー作やクレジットが明確なセッション録音で「Purdie Shuffle」やゴーストノートの配置を耳で追う。
- 録音をループで聴き、スネアの小さなタップ(ゴースト)やハイハットの三連感がどのようにアクセントを作っているかを確認する。
- ドラマーであれば、メトロノームを使ってわざと微量に後ノリで叩く練習や、ゴーストノートだけでパターンを組む練習を取り入れると理解が深まる。
まとめ
Bernard Purdieは「完璧な正確さ」と「人間味あるスウィング感」を兼ね備えたドラマーであり、そのプレイは一聴してわかる独自の味わいを持ちます。セッションワークでの経験値と音楽を支える眼(耳)で築いた“ポケット”は、今日のグルーヴ感における重要な参照点です。彼の演奏をじっくり聴くことで、リズムの奥行きや音楽における時間の使い方について多くを学べます。
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参考文献
- Bernard Purdie — Wikipedia
- Bernard Purdie — AllMusic(バイオ・ディスコグラフィ)
- Bernard Purdie — Drummerworld
- Bernard Purdie — Discogs(セッション/リリース一覧)


