サブスク全盛時代に甦るアナログ・レコード市場の逆襲:背景と今後の展望

2024年、世界の音楽市場はサブスクリプション型サービスが収入の84%を占める中で29.6億米ドルに達し前年から4.8%増を記録しました​。一方でアナログ・レコードは18年連続で4.6%成長を維持し、物理フォーマット売上の約3/4を占めています​。米国では販売枚数が44百万枚に達しCDの33百万枚を3年連続で上回りました​。欧州市場でもEU域内の録音音楽収入が2023年に€5.2 billionを記録し、物理フォーマットが市場を下支えしました​。日本においては2023年の生産量が270万枚と3年前の2.5倍に増加し​、2024年には314.9万枚・生産金額78.87億円と1989年以来35年ぶりの高水準を達成しています​。本コラムでは所有欲求や音質体験、コミュニティの活性化、プレス体制強化などの要因を分析し、サステナビリティや供給制約、デジタル×アナログ融合といった今後の課題と展望を探ります。

音楽産業のサブスク主導の現状

世界の音楽市場収入は2024年に29.6億米ドルに達し、前年から4.8%増加しました​。サブスクリプション型ストリーミングは収入の84%にあたる約24.9億米ドルを占め、最大の成長ドライバーとなっています​。

レコードの再興:世界市場動向

米国市場

  • 販売枚数は44百万枚に達し、CDの33百万枚を3年連続で上回りました。
  • 2024年前半の出荷は17%加速し、物理フォーマット中で最大の伸びを示しました​。

欧州市場

  • EU域内の録音音楽収入は2023年に€5.2 billionを記録し、物理フォーマットが18%を占めました​。

日本市場

  • 2023年の生産量は270万枚と3年前の2.5倍に、金額は62.67億円に達しました​。
  • 2024年には314.9万枚・生産金額78.87億円と1989年以来35年ぶりの高水準を達成しています​。

背景要因分析

  1. 所有欲求と儀式感
    ジャケットアートやターンテーブル操作など、物理的所有から生まれる“儀式感”が支持されています。
  2. ターンテーブル市場の拡大
    グローバルで40%増を記録し、若年層の新規参入を促進しています​。
  3. コミュニティとイベントの活性化
    Record Store Dayやインディペンデント店舗数が2014年の339店から461店に増加し、購入体験を盛り上げています​。
  4. プレス体制の強化
    東洋化成の新工場開設やソニーミュージックの一貫生産復活などで需要増に対応しています。

今後の展望と課題

  • 供給能力の強化:200以上のプレス工場が稼働予定で、ボトルネック解消が進行中です。
  • 環境負荷とサステナビリティ:CO₂排出量0.7~6kg/枚の削減に向け、再生PVCやバイオ素材が模索されています。
  • デジタル×アナログ融合:Taylor SwiftやBillie EilishがIFPIバイナル・アルバム・チャート上位を独占し、新世代のコレクション欲を喚起しています​。

参考文献

  1. IFPI Global Music Report 2024: Data & Analysis. International Federation of the Phonographic Industry. IFPI
  2. RIAA 2024 Year-End Music Industry Revenue Report. Recording Industry Association of America. RIAA
  3. アナログレコードの生産量は270万枚に増加 rp.kddi-research.jp
  4. 音楽ソフト生産・音楽配信の概況riaj.or.jp
  5. 好調アナログレコード生産 35年ぶり水準 Nippon.com | Your Doorway to Japan

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