イ・ムジチ合奏団:指揮者を持たないバロック演奏のパイオニア

イ・ムジチ合奏団(I Musici)は1951年にローマで結成された12人編成のイタリアの室内オーケストラです。指揮者を置かずに対等なアンサンブルを実現するスタイルと、ヴィヴァルディをはじめとするバロック音楽の斬新かつ緻密な解釈で国際的な評価を確立しています。『四季』などの代表曲での録音はミリオンセラーを記録し、映像やCD録音のパイオニアとしても知られています。

結成と歴史

創設の背景

1951年、ローマのサンタ・チェチーリア音楽院の上級課程を修了した12名の弦楽奏者が集まり結成されました。メンバーはすべて対等な立場で音楽的決定を行う「インター・パーレス(inter pares)」の理念を掲げ、指揮者を置かない独自の運営方式を採用しています。

初期の成功

1955年にフェリックス・アヨをソリストに迎えて録音されたヴィヴァルディの『四季』は、世界的なベストセラーとなり、2500万枚以上の売上を記録してプラチナ・ディスクを獲得しました。この録音はその後、1959年にステレオ技術を取り入れて再録音され、1969年にはロベルト・ミケルッチをソリストに起用したバージョンも制作されました。

演奏スタイルと理念

イ・ムジチ合奏団は指揮者を置かず、メンバー同士の綿密なコミュニケーションによって演奏をまとめるスタイルを追求しています。この方式により、一人ひとりの奏者が主体的にアーティキュレーションやテンポについて意見を交換し、自由度の高い表現を実現しています。

レパートリーと録音

バロックから現代まで

当初はバロック音楽を中心に活動し、ヴィヴァルディ、アルビノーニ、バッハ、ヘンデルなど17~18世紀の作曲家の作品を数多く演奏しました。その後、ロッシーニやモーツァルト、さらにはニーノ・ロータやエンニオ・モリコーネといった映画音楽まで、19世紀から20世紀の多彩なレパートリーへも取り組むようになりました。

録音のパイオニア

1970年代にはクラシック音楽では世界初となるミュージックビデオを制作し、映像作品としても注目を集めました。さらに、フィリップス・レーベル向けに世界初のCD録音を行うなど、最新技術の導入にも積極的でした。主要レーベルではドイツ・グラモフォン、デッカ、EMI、コロムビアなどでも録音を残しており、300以上のタイトルがリリースされています。

国際的な活動とツアー

1956年と1967年には南部アフリカでのツアーを成功させ、アフリカ大陸でも高い評価を獲得しました。近年では2015年にクイーンズランド音楽祭に招聘され、オーストラリア各地で満席の大聴衆を魅了しました。

現在の編成とレガシー

現在は6名のヴァイオリン奏者、2名のヴィオラ奏者、2名のチェロ奏者、1名のコントラバス奏者、1名のチェンバロ奏者の計12名で構成されており、設立時からの「対等なアンサンブル」の精神を受け継いでいます。その高度に統率された演奏技術と斬新な解釈は、世界中の室内楽団に多大な影響を与え、バロック演奏のスタイル形成に貢献し続けています。

イ・ムジチ合奏団は指揮者を持たない運営方法や映像・CDなどの技術的挑戦により、バロック演奏の先駆者としての地位を確立しました。今後も伝統と革新を融合させた演奏で、世界の音楽ファンを魅了し続けることでしょう。


参考文献

  1. https://www.imusici.info/
  2. https://en.wikipedia.org/wiki/I_Musici

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