レコードのカビ対策ガイド:原因から徹底ケアまで
レコードにカビが生えると音質劣化や針へのダメージを招く可能性があります。本ガイドでは、カビが発生するメカニズムや影響、カビ除去に必要な準備・道具、具体的な除去手順、専用機器・製品の活用法、漂白剤使用の注意点、そして再発防止のための保管管理まで、詳細に解説します。
カビ発生のメカニズム
湿度と温度の影響
長期保存時には湿度30〜40%、温度10〜21℃程度が推奨されますが、これを超えるとカビが繁殖しやすくなります。
静電気と塩化ビニールの特性
レコードは塩化ビニール製で静電気を帯びやすいため、空気中のカビ胞子やホコリが吸着しやすくなります。
カビ胞子の存在
カビ胞子は空気中に常在しており、高湿度環境下でレコード表面に付着し増殖します。
カビによる影響
カビが溝に入り込むと、音がこもったりプチプチ音、スウィッシングノイズなどの音質劣化を引き起こすことがあります。スタイラスチップにカビ胞子が付着すると、溝追従性が低下し、摩耗や破損を招く恐れがあります。さらに、目に見えないカビの残留が再生時にノイズを引き起こす場合もあります。
除去準備と道具
作業前には水平で安定した場所にレコードを置き、ラベル部分をビニール袋などで保護します。基本的な道具としては、マイクロファイバークロス、イソプロピルアルコールと精製水を50/50で混合したクリーニング液、中性洗剤を数滴加えた洗浄液、霧吹き、さらに陰干しや冷風ドライヤーでの乾燥用具が必要です。頑固なカビには、プロテアーゼやアミラーゼなどの酵素を含む自家製溶液や、市販のPower Cleanerなどの専門製品が効果的です。
カビ除去の手順
- 乾式ブラッシング
カーボンファイバー製ブラシなどで、盤面の乾燥したカビやホコリを優しく払います。 - 大まかなすすぎ(オプション)
シンクやシャワーで精製水を使い、表面の汚れを軽くすすぎます。ただし、レコードが完全に防水であることを確認してください。 - 洗浄液によるクリーニング
イソプロピルアルコールと精製水の混合液に中性洗剤を数滴加え、霧吹きで盤面に噴霧した後、マイクロファイバークロスで溝に沿って円を描くように丁寧に拭き取ります。 - 真空バキューム式クリーニング
Record Doctor VIなどのバキュームクリーナーを使用する場合は、専用洗浄液を塗布後、溶液が汚れを浮かせたタイミングで吸引し、溝奥の汚れや洗浄液を同時に除去します。 - 拭き取りとすすぎ
洗浄後はクロスで残留した液剤と汚れをしっかり拭き取り、精製水で軽くリンスして残留物がないようにします。 - 乾燥
ドライヤーの冷風や陰干しで完全に乾燥させます。湿気が残ると再発の原因となるため、十分な乾燥時間を確保してください。
専用機器・製品の活用
- Power Cleaner:型離れ剤や微細な汚れにも効果的です。
- Record Doctor VI:真空式マシンと専用洗浄液の併用で高い洗浄効果が得られます。
- Spin-Clean MKII:手動スピン式クリーナーとして手軽に使え、バッチ処理にも対応します。
- 超音波洗浄機:溝奥まで徹底的に洗浄できますが、高価格帯です。
漂白剤使用の注意
塩素系漂白剤は、盤面やラベルの変色・劣化、残留毒性のリスクがあるため、基本的には避けるのが無難です。どうしても使用する場合は、希釈濃度や使用範囲を厳守し、液剤が盤面に直接触れないよう注意してください。
再発防止・保管管理
保管時は温度を15〜21℃、湿度を30〜40%に維持し、記録用の3mil厚ポリエチレン製スリーブを使用して湿気とカビ胞子の侵入を防ぎます。レコードは垂直に保管し、横積みや直射日光を避けてください。除湿機や乾燥剤を活用し、定期的な通気と帯電防止スプレーによるメンテナンスを行うことで、カビの再発を効果的に抑制できます。
まとめ
本ガイドで紹介した手順と製品を活用すれば、多くの場合、カビに侵されたレコードを再生可能な状態に戻せます。特に保管環境の湿度・温度管理と、定期的なクリーニングが、長期的に良好なコンディションを維持する鍵となります。大切な音楽資産をいつまでも美しい音で楽しむために、ぜひ日頃から丁寧なケアを実践してください。
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