初心者のためのクールジャズ深掘りガイド 第2弾

本記事では、クールジャズの基礎知識からスタートして、異なる編成や録音年代を通じてその多様性と魅力を詳しく解説します。各アルバムの録音状況や編成、代表的なトラック、演奏の特徴を丁寧に紹介することで、クールジャズ入門に最適な5作品を深掘りします。


クールジャズとは

クールジャズは、第二次世界大戦後のアメリカでビバップの熱烈な表現とは対照的に生まれた演奏スタイルです。演奏テンポは穏やかで、柔らかな音色とクラシック的な対位法的アプローチを特徴とし、室内楽のような繊細さと知的な余白を備えています。ステレオ録音技術の発展に伴い、演奏空間の立体的な広がりも体感できるのが大きな魅力です。


1. Lee Konitz『Subconscious-Lee』

録音・リリース

  • 1949年および1950年にニューヨークで録音。
  • 1955年にPrestigeレーベル(PRLP 7004)から12インチLPで発売。

編成・メンバー

  • アルト・サックス:Lee Konitz
  • ピアノ:Lennie Tristano
  • テナー・サックス:Warne Marsh ほか

聴きどころ
タイトル曲「Subconscious-Lee」では、リリカルな長いフレージングと即興のバランスが秀逸で、モーダルな要素を先取りする響きを堪能できます。

特徴
ビバップの興奮を抑えた落ち着きある演奏は、室内楽的な対話型インプロヴィゼーションの魅力を際立たせています。


2. Stan Getz『Cool Velvet』

録音・リリース

  • 1960年3月に西ドイツ・バーデン=バーデンで録音。
  • 同年11月にVerveレーベル(MGV 8379)からリリース。

編成・メンバー

  • テナー・サックス:Stan Getz
  • 管弦楽アレンジ・指揮:Russell Garcia
  • ハープ、ヴィブラフォン、ピアノ、ベース、ドラム、ストリングスほか

聴きどころ
「Love Is Here to Stay」「’Round Midnight」など、スタン・ゲッツの柔らかなサックスとオーケストラル・バックの融合が、都会的で洗練された世界を描き出します。

特徴
ストリングスを含む大規模編成によるクラシカルなアレンジが、クールジャズの静謐かつドラマティックな一面を引き出しています。


3. Paul Desmond & Gerry Mulligan『Two of a Mind』

録音・リリース

  • 1962年6月26日、7月3日、8月13日にニューヨークRCAスタジオAで録音。
  • 同年、RCA Victor(LPM 2624)よりリリース。

編成・メンバー

  • アルト・サックス:Paul Desmond
  • バリトン・サックス:Gerry Mulligan
  • ギター:Jim Hall
  • ベース:Ray Brown
  • ドラム:Philly Joe Jones

聴きどころ
タイトル曲「Two of a Mind」は「Look for the Silver Lining」をベースにしたコントラファクト。二管の軽妙かつメロディックなハーモニーが印象的です。

特徴
ピアノを外したカルテット編成がもたらす開放感と、デスモンドとマリガンの絶妙なインタープレイが魅力です。


4. Paul Desmond『First Place Again』

録音・リリース

  • 1959年9月5~7日にニューヨークで録音。
  • 同年、Warner Bros.(WS 1356)よりリリース。

編成・メンバー

  • アルト・サックス:Paul Desmond
  • ギター:Jim Hall
  • ベース:Percy Heath
  • ドラム:Connie Kay

聴きどころ
「When the World Was Young」「It’s You」など、デスモンドらしいクリーンでエレガントなアルト・トーンが心地よく響きます。

特徴
ピアノレスのクインテットによるミニマルな伴奏が、アルト・サックスのメロディを鮮やかに際立たせます。


5. Art Pepper『Art Pepper Meets the Rhythm Section』

録音・リリース

  • 1957年1月19日にロサンゼルスContemporaryスタジオで録音。
  • 同年、Contemporaryレーベルよりリリース。

編成・メンバー

  • アルト・サックス:Art Pepper
  • ピアノ:Red Garland
  • ベース:Paul Chambers
  • ドラム:Philly Joe Jones

聴きどころ
「You’d Be So Nice to Come Home To」「Red Pepper Blues」などで、ペッパーの熱量ある即興と名手リズム隊の緊密なアンサンブルが火花を散らします。

特徴
マイルス・デイビスのリズムセクションを起用したことで生まれた、緊張感と化学反応に満ちた歴史的マイルストーン的作品です。

以上の5作品をじっくり聴き比べることで、クールジャズが持つ静謐さ、構築美、即興性の豊かな表情を体感できます。リスナーの皆さんもぜひお気に入りの一枚を繰り返し再生し、クールジャズの奥深い世界へ足を踏み入れてみてください。

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