ハードバップの巨人:アート・ブレイキーの生涯と遺産

アート・ブレイキー(Arthur Blakey, 1919年10月11日–1990年10月16日)は、アメリカを代表するジャズドラマー兼バンドリーダーであり、「ハードバップの礎を築いた人物」として知られています。1954年に結成した「ジャズ・メッセンジャーズ」を率いて数多くの若手ミュージシャンを育成し、自らの強烈なプレスロールとクロスビートを駆使したドラミングは、後進の模範となりました。
初期生涯
ペンシルベニア州ピッツバーグに生まれたブレイキーは、幼少期に母を失い、親戚のもとで育てられました。少年時代は鉄鋼工場で働きつつ独学でピアノを学び、夜は地元のジャズクラブで演奏を重ねて音楽家としての基礎を築きました。
ビバップ時代
1939年頃からメアリー・ルー・ウィリアムズのバンドでピアノ奏者として、のちにドラマーとして活動を開始。1944年にはビリー・エクスタイン楽団に参加し、ディジー・ガレスピーやチャーリー・パーカーらビバップの先駆者たちと共演を果たしました。1947年から49年にかけてはアフリカを旅し、イスラム教に改宗してアブドラ・イブン・ブハイナを名乗った時期もありました。
ジャズ・メッセンジャーズの結成と黄金時代
1954年、ピアニストのホレス・シルバーらとともにクインテット形態で「ジャズ・メッセンジャーズ」を結成。以降リーダーとしてバンドを率い、ケニー・ドーハム、ハンク・モブレー、ドナルド・バード、リー・モーガン、ウェイン・ショーター、フレディ・ハバード、カーティス・フラーら多くの若手を登用しました。ブレイキー自身「バンドは“ブレイキーの大学”」と称し、才能ある若手を積極的に育成し続けました。
演奏スタイルの特徴
ブレイキーのドラミングは、チック・ウェブやシド・キャトレットのスウィングを土台に、頻繁な高音量スネアとバスドラムのアクセントを特徴とします。その力強く推進力に満ちた演奏は「ハードバップのグル」と評され、バンド全体に圧倒的なエネルギーをもたらしました。
代表作とマイルストーン
- A Night at Birdland Vols. 1 & 2(1954年録音)
ニューヨークのクラブ「バーランド」でのライブ録音。メッセンジャーズの初期の躍動感が切れ味鋭く捉えられています。 - Moanin’(1958年、Blue Note)
ブルーノート・レーベルから発表された代表作。タイトル曲はジャズ・スタンダードとなり、多くの奏者にカバーされ続けています。 - The Big Beat(1960年)
シャープなリズムとソリッドなグルーヴが際立ち、ハードバップの黄金期を象徴する一枚です。 - Hard Bop(1956年録音)
オリジナル曲とジャズ・スタンダードを織り交ぜ、バンドの多彩なレパートリーを示しました。
教育者としての顔とレガシー
ブレイキーは演奏だけでなく、若手育成にも力を注ぎました。リー・モーガン、ウェイン・ショーター、ワイクリントン・マサリスなど、多くの“卒業生”がジャズ界で活躍し、今日のジャズ教育にも影響を与えています。
生涯の終焉と評価
1990年10月16日にニューヨークで逝去。生前にはダウン・ビート・ジャズ・ホール・オブ・フェイム(1981年)入り、没後にはモダン・ドラマー・ホール・オブ・フェイム(1991年)、グラミー生涯功労賞(2005年)など数々の栄誉を受け、彼の功績は世界中のジャズシーンに脈々と受け継がれています。
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