黄金奏響:ピリンチョ五重奏団が紡ぐタンゴ秘曲名演史

本コラムでは、東芝EMIの日本ODEONレーベルから1970年代にリリースされた2枚組コンピレーションLP『タンゴ黄金時代の巨匠達/ピリンチョ秘曲名演史』(OR-9319B)の成り立ちから収録内容、音楽的魅力を詳細に掘り下げます。
本作は『La Época Del Tango Heroíco』シリーズの第1巻として企画され、黄金時代の名門楽団を紹介する日本市場向けのプレミアム企画盤です。演奏は1940年12月14日に結成されたクインテート・ピリンチョが担当し、1935年から1955年にかけて録音された珠玉の名演を中心に網羅しています。収録楽曲は代表的なタンゴからマイナーな秘曲まで幅広く、原典に忠実なアレンジと緻密なアンサンブルが光ります。ジャケットには帯と日本語ライナーノーツが付属し、コレクターズアイテムとして国内外で高い評価を受けています。
1. 歴史的背景
タンゴ黄金時代の概念
タンゴの黄金時代は、一般的に1935年から1955年までの約20年間とされ、この時期に大編成のオーケストラ・ティピカから五重奏など小編成のアンサンブルが台頭しました。
この時期、カルロス・ディ・サルリ、アニバル・トロイロ、オスバルド・プグリエーセといった名門楽団が次々と名演を残し、ラジオやレコード、映画を通じてタンゴ文化が国民的ポピュラリティを獲得しました。
フランシスコ・カナロとピリンチョ五重奏団
フランシスコ・カナロ(1888年–1964年)は、ウルグアイ生まれのバイオリニスト兼オーケストラ・リーダーで、「ピリンチョ」の愛称でも親しまれ、多数の録音を残したタンゴ界の巨匠です。彼の五重奏団は、1937年に前身のドン・パンチョ五重奏団から発展し、1940年12月14日に正式に「クインテート・ピリンチョ」として結成されました。
2. 日本盤コンピレーションLPシリーズ
『La Época Del Tango Heroíco』シリーズ概要
本作は1970年代中頃、東芝EMIのODEONレーベルが日本市場向けに企画した『La Época Del Tango Heroíco』(タンゴ黄金時代)シリーズの第一弾としてリリースされました。同シリーズはピリンチョ五重奏団をはじめ、オスバルド・プグリエーセ、カルロス・ディ・サルリなど黄金時代の名門楽団をフィーチャーし、全4巻構成で展開されました。
カタログ番号・パッケージ仕様
日本盤オリジナル2枚組LPは、カタログ番号OR-9319B、帯付きのプレミアム仕様でリリースされました。サイズは12インチで、33 1/3 rpmのステレオ・フォーマットを採用した2枚組仕様です。同梱のライナーノーツには、収録楽曲の背景や録音年、メンバー紹介などが日本語で詳細に解説されています。
3. 収録内容と楽曲解説
A面には『ラ・クンパルシータ』『タキート・ミリタール』『エル・ガビラン』『ミ・コケタ』『カナロ・エン・パリ』『エル・ファボリト』の6曲が収められています。B面には『エル・イルレジスティブォ』『デュエロ・クリオージョ』『エル・チルーハ』『ケハス・デ・バンドネオン』『ノブレサ・デ・アラバル』『ミロンガ・デ・ミ・フロール』が並び、いずれも原典に忠実なアレンジが施された名演です。いずれの収録曲も、ピリンチョ五重奏団による緻密なアンサンブルを特徴とし、黄金時代のスタイルを再現しています。
4. 音楽的特徴と演奏スタイル
クインテート・ピリンチョの編成は、2本のバイオリン、ピアノ、コントラバス、バンドネオンの5つの楽器から成り立ち、各パートが緊密に絡み合うことで、オーケストラ・ティピカにはない緊張感と躍動感を生み出しています。
5. パッケージとコレクターズ価値
日本盤オリジナルの帯付き2LPは、ジャケットや帯の保存状態が評価の分かれ目となり、帯あり・美品の場合は特に高値で取引される傾向にあります。
6. 結語
『タンゴ黄金時代の巨匠達/ピリンチョ秘曲名演史』は、黄金時代のタンゴを五重奏の繊細かつ力強い演奏で再現し、日本のタンゴファンに新たな視点を提供するコレクター必携の一枚です。
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